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交通事故弁護士・加茂隆康の情熱実話 「医療調査」7の1 《理由なんかどうだっていい》

2017.05.16

「医療調査」7の1
 
理由なんかどうだっていい

 
 アメリカのサスペンス映画に「白いドレスの女」(原題“BODY HEAT”)というのがあります。これは巨万の富を築いた中年実業家の夫人マティ・ウォーカー(キャスリーン・ターナー)が、くらくらっとくるほどの美貌を武器に、少しドジな弁護士ネッド・ラシーン(ウィリアム・ハート)をたぶらかして夫を殺させ、夫の財産を一人占めにしようと企む話です。一人占めにした後で、その弁護士まで始末する計画です。

 夫が家にいるためにしばらく男と会えなかった夫人が、貧乏弁護士の個人事務所に突然訪ねてきます。
「ねぇネッド、抱いて、お願い、しっかり抱いて。愛してるわ。主人はやっと行ったわ。欲しくてたまらかったの」
 かたい抱擁と接吻をかわしたあとで、ネッドがつぶやきます。
「あの男は死ぬんだ。理由はない。俺たちがそれを望むからさ。・・・殺ろう。これで決まりだ」
 損保の値切りの態度に接するたびに、私はこのシーンを思いだします。損保の査定マンたちは、社内の飲み会などで、おそらくこんなセリフを吐いていることでしょう。
「とにかく保険金は値切るんだ。徹底的に値切るんだ。理由はない。俺たちがそれを望むからさ」
 
損保にとっては、安くさえあれば理由なんかどうだっていいのです。だが理由もなしに値切ったのでは被害者は納得しません。ドクターも納得しません。そこで治療の必要性がなかったとか、3か月で「症状固定」のはずだなどともっともらしい理屈を並べるのです。
 
(「医療調査」7の2へ続く)

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