ドッキリ!実話

示談後の悔し涙 (2/7)

― 示談のいきさつ ―

 息子さんの後遺障害は、損害保険料率算出機構(旧自動車保険料率算定会)にて12級と認定されました。
 後遺障害等級は1番重い1級から1番軽い14級まで14段階にわかれています。息子さんの傷害の部位や障害の程度からしますと、12級という認定は軽すぎるように私には思えました。しかしこの点は、父親がいま問題にしているわけではありませんから、よしとしましょう。過失割合については、息子さんが15%、乗用車を運転していた加害者が85%という内容でまとまっています。これも過失割合の認定基準に従ったもので、妥当な線です。
 問題は金額です。
 示談書には、「既払額349万円のほかにあと500万円を支払う」となっています。この500万円が妥当かどうかです。
 なぜ500万円で落ちついたのか。その算定根拠となる賠償金の明細書を私は見せてもらいました。明細書には示談交渉の際にT損保でだしてきたものです。加害車両にはT損保の対人賠償保険がつけられていたからです。
 T損保では、治療費、入院雑費、通院交通費、休業損害など項目別に損害額をわりだし、損害の総額から息子さんの過失分15%を過失相殺して、その額からさらに既払金をひいています。その結果、残金は464万円だと記されています。
 父親である彼は、T損保と示談折衝をし、「464万円を切りあげて、500万円にしてくれませんか」と頼みました。
 T損保の担当者は上司と相談の結果、思いのほかすんなり了解してくれたと彼はいいます。
自分の要求が通ったと考えた彼は、T損保から送られてきた示談書を前にして、ためらうことなく息子さんに署名捺印をさせました。
 しかしこれには、思いがけない落とし穴があったのです。

<<前へ

戻る

PAGETOP