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ドッキリ!実話

泣き寝入り

― ホームロイヤーのすすめ ―

化粧品会社のセールスレディーをしているTさん(28)が、拙宅へ来て、妻にこんな話をされた。
 Tさんが自宅を建て替えている際、3階建てにしようとしたら、隣の家から

「2階建てにせよ」

といわれた。隣家の陽当たりが悪くなるからというわけではない。単に、気に入らないという理由にすぎない。
 その隣家は、実は暴力団組員の家であった。
Tさんの土地は、3階建て住宅を建てられる場所である。だから建築基準法に違反してはいない。いまの2階建てのままでは、陽当たりも悪い。結婚して子供もでき、将来は夫の親を引き取ることになるかもしれない。そのためには、どうしても3階建てにし、居住空間とカーポートを確保したかった。
 困ったTさんは市役所へ相談にでかけた。ところが市職員の対応は、予想に反し冷淡だった。しまいには

「長いものには巻かれろっていうじゃありませんか」

などといって、逆に2階建てにするように説得されてしまった。Tさんは市会議員にも相談したが、

「ご近所同士、波風をたてないほうがいいよ」

などといって、とりあってもらえなかった。実は、隣の暴力団組員は、連日、市役所へ押しかけ、

「Tの家を2階にさせろ」

と迫ったのだった。そればかりか、Tさんの建築を非難するビラまで、近所でばらまいた。
弱り果てたTさんは、設計を変更してやむなく2階建てにした。
こうして出来上がったカーポートは狭くて使えず、Tさんは料金を払って別に駐車場を借りている。大金を払って建てた新築住宅は、2階建てのため日照も悪く、一日中暗い。

「相談する場所をまちがえたのがとても悔しい」

とTさんは語った。
妻からその話を聞いて、ああ、アアと私は思った。Tさんは理不尽な脅しに屈して泣き寝入りさせられたのである。こういうとき、相手の言いなりにならずに、弁護士に相談してみればよかったのだ。
もし弁護士のところに来ていたら、裁判所に仮処分を求めてでも隣家の男の行為をおさえ、Tさんは計画どおり3階建てを建てられただろう。
どうも、世間にはどんな問題を弁護士に相談できるのか知らない人が意外に多い。そのために損をした人の話を聞くと、私は残念でならない。
日常生活上のトラブルは、なんでも弁護士に相談できるのである。事業に関しない一般市民の相談料は、個々の弁護士によってちがいはあるものの、日弁連の基準では初回は30分5000円~1万円となっている。また、多少経済的にゆとりのある方なら、相談件数にもよるが、月額5000円以上でホームロイヤーを持つことができる。
弁護士を知るには、知人や弁護士会からの紹介のほか、弁護士の書いた本を読んで、直接その人にアクセスしてもよい。プライベイトな自分の弁護士をもち、子供のいじめから買った商品の欠陥まで、何でも弁護士に相談する。 アメリカ人はとうにしていることだが、日本人にもこんな生き方があってもいいと思う。弁護士をお茶の友達にして知的会話を楽しむのだって、捨てたものじゃない。
私は主婦の方から相談をうけると、ときどきそんな話をする。

(完)

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