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交通事故で車両保険金を請求したら…(2)~車を盗難されたのに、保険金不払いって?

2017.01.05

 あなたが車を盗難されたとき、どう対処したらいいのでしょうか。

 実は、車両が盗難に遭った場合、何者かによって、車が盗まれたという外形的事実だけは、保険金請求者側が証明しなければなりません。

 証明の方法として一番良いのは、監視カメラです。

 犯人が車を盗んでいく様子が映像におさめられていれば、勝てる公算が高まります。

 逆に、そういう映像がありませんと、「何者かが車を盗んでいった」という外形的事実の立証に困難をきたし、敗訴する可能性が強くなります。

 なぜ外形的事実を被害者側で証明しなければいけないかと言いますと、最高裁の判例でそうなっているからです。
 現実には、保険金詐欺を企む悪い輩もいることから、最高裁は立証責任を次のように分担させたのです。

  a. 盗難の外形的事実→保険金請求者に立証責任あり

  b. 保険者が免責を主張する事実(例えば、偽装盗難など)→保険会社に立証責任あり

 a.の外形的事実の立証に契約者が成功すれば、損保側でのb.の立証はまず不可能です。 

 ところが、監視カメラによるa.の映像が残っていませんと、第一段階であるa.の立証ができなくなる結果、訴訟に持ち込んだとしても、保険金請求者側が敗訴してしまうのです。

 a.の立証責任が、車の盗難では、保険金請求の大きな壁になっています。

 損保はこうした流れがわかっているために、

 「訴訟でもなんでも、やれるものならやってみろ」
 「訴訟で万一負けたら、そのとき保険金を払えばよいだけのことだ」

という開き直った考えで、一律に「不払い」の通知を契約者に送り付けてくるのです。

 この続きは、次回へ。
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交通事故弁護士
加茂隆康事務所
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