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交通事故弁護士・加茂隆康の情熱実話 「医療調査」-4 《期間と単価》

2017.04.25

「医療調査」-4
加茂隆康著「交通事故紛争」(文春新書、2003年刊)より


期間と単価

   野々村さんのケースでも、Y損保は受信した病院の整形外科医になんだかんだと照会を求めてきました。
「初診時の婦人の症状はどんなだったか」
「その時の画像があったら見せてくれ」
「初診以降どのような治療をつづけてきたか」
「この方は以前より貴院に別の病気で通っていなかったか」
などなど。
 婦人には既往歴はなく、この事故の時が初診です。ただ、画像上は、頸に特段異常は認められません。頸椎捻挫というのは、X線で他覚的な異常が認められなかったとしても、痛みやしびれ、めまいといった症状を伴うことはよくあります。このような症状を「バレ・リュ―症候群」といいます。ですから、X線の画像上異常がみあたらないから、即どこも悪くはないとは決めつけられないのです。
 ところがY損保は、医療調査の結果、画像上の異常がないことを根拠に、医療費の減額を病院に迫りました。
 
 損保が病院に医療費の減額を求めるキーポイントは二つあります。治療の「期間」と治療費の「単価」です。
 
 まず治療機関の問題とは、現実には半年とか1年ぐらい通院したとしても、「それは長すぎる。被害者のけがを治療するのに妥当な期間、又は必要な期間は×か月だ。従って、治療費もその×か月分しか認めない」という論法です。
 野々村さんのケースでも、Y損保はこの期間を問題にしました。「3か月で治っている“はず”だ」、少なくとも「3か月で症状固定になっている“はず”だ」と一方的に決めつけたのです。
 軽微なむち打ちであれば、3か月くらいで治ることはよくあります。しかしそれも交通事故の被害者によって個人差があります。高齢者であれば治りにくく、治療期間が長引くというのもよく見受けられることです。
 Y損保の勝手なところは、個人差を考慮せず、70歳の女性が被害者だというのに、普通は3か月くらいで治るから、今回も治っていいはずだと憶測で決めつけた点にあります。
 弁護士としては、大いに争いたい点です。


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交通事故弁護士
加茂隆康法律事務所
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