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交通事故弁護士・加茂隆康の情熱実話 「医療調査」-3 《医療調査あるいは値切り交渉》

2017.04.21

「医療調査」-3
加茂隆康著「交通事故紛争」(文春新書、2003年刊)より
 
医療調査、あるいは値切り交渉

 
 人身事故が起きた場合、加害者側の保険会社で必ず支払わなければならないのが、交通事故被害者の治療費です。
 治療費の金額をできるかぎり安くおさえたい。これは損保に共通した思いです。
 交通事故の治療費は、ふつうは病院が加害者側の損保に、レセプト(診療報酬明細書)と呼ばれる請求書を送ります。損保では治療内容をチェックし、問題なければ病院の預金口座に治療費を支払うというシステムをとっています。
 チェックの過程で、損保はしばしば医療調査というのを行います。
 被害者の同意をえて、病院の担当医に被害者の症状や治療内容を照会するのです。場合によっては、X線やMRIの画像フィルムを借りたりして、それを損保の顧問医に見せ、判断を仰ぎます。
 このように書きますと、医療調査はあくまでも客観的に、正当な治療行為とそうでないものとを峻別し、合理的な治療費をきちんと病院に支払うために行っているかのように読めるでしょう。

 ところが損保の思惑はそうではないことが多いのです。

 では何なのか。

 それは医療調査に名を借りて、病院との間で治療費の値切り交渉を行うことにあります。
 
「医療調査」-4へつづく)

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