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交通事故弁護士・加茂隆康の情熱実話 「医療調査」-5 《自由診療と健保診療》

2017.05.02

「医療調査」-5

《自由診療と健保診療》

 キーポイントの2つ目、治療費の単価の問題に触れるためには、まず自由診療と健保診療について説明しなければなりません。
 医師の診療報酬というのは、治療内容を点数化し、その点数1点につき一定の金額を掛けて、総額をだす仕組みになっています。この場合、健康保険を使った診療では、1点10円と定められています。
自由診療とは、端的にいえば、健康保険を適用しない診療です。病気とちがい、第3者が他人にけがを負わせ(これを「第3者行為災害」と呼びます)、治療費支払いの義務を負っている場合、つまり交通事故のような場合、原則的には自由診療になります。
 自由診療はその名の通り、建前上は1点をいくらに定めようと医療機関の自由です。これはあくまでも建前であって、実際には1点20円から25円の範囲内で請求する病院が多いようです。
 1点あたりの単価が下がれば、当然総額も下がります。たとえば、自由診療で1点20円とし、合計1万点の治療をした場合、医療費の総額は20万円(1万点×20円=20万円)ですが、健保診療で1点を10円にすれば、半額の10万円(1万点×10円=10万円)となります。
 この点に目をつけたY損保は、病院側に減額を請求します。
「1点当たりの単価を健保診療並みに安くしてくれませんか」と。
 この病院の診療報酬は他の病院の自由診療の単価にくらべ、格段に高いというわけではありませんでした。1点当たり20円として計算していたにすぎないからです。
 
「医療調査」-6 へ続く)

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