著 書
交通事故法入門
(カッパブックス)(1997年刊)
目次抜粋
3章 賠償金をめぐる攻防
- 人的損害は、傷害・後遺障害・死亡の三つ
- 被害者が後遺症を苦に自殺しても、死亡分の損害を払う必要はない
- 賠償金の基準は、自賠責保険・任意保険・弁護士会の順に高くなる
- 請求額のどこが多すぎるか、チェックする方法
- アメリカでも過失相殺が通用するようになってきた
- 相手が自営業なら、「申告所得ベース」で賠償金を計算せよ
- 車の五台に一台は、任意保険がついていない
- 顔の傷は、女は男の三~五倍
- 不法就労外国人には、母国の経済水準で補償する
- 車の損害は「時価」が限度
- 代車を出すときは、「単価と期間」を限定しろ
- 事故車がベンツでも、代車は国産車でいい
- 評価損は、修理費の三割が目安
- ”愛車”を傷つけたとしても、慰謝料を払う必要はない
- ペットを轢き殺しても、法律上はたんなる「物損」
- 裁判になっても、和解すれば相手の弁護士費用は払わなくていい
- 三年たてば、賠償金も時効になる
5章 知らないと損する保険の裏側
- 自賠責保険では、死亡事故でも3000万円しか出ない
- 自賠責保険では過失相殺はしない
- 保険料は高いが、一番手厚い自家用車総合保険(SAP)
- 自動車保険の「たら」「れば」措置
- 自動車事故にも使える保険がある
- 査定の厳しい保険会社はどこか
- 酒を飲んでいても保険金はでる
- 加害者が払ったお金は自賠責から返ってくる
- 被害者に自賠責への請求をしてもらう手もある
- 後遺症が出たら、まず等級をきめてもらえ
- 任意保険がなければ、被害者保険を使え
本文抜粋
裁判の方が保険会社も出しやすい
多くの人は、裁判というとずいぶん大事になったように感じるものだ。しかし、それほど大げさに考える必要はない。これまで喫茶店だった話し合いの場を、裁判所の和解室に変えるだけだ、ぐらいに気軽に考えると良い。
ところが、場所を変えただけでもずいぶん効果があることがある。たとえば、保険会社の態度は、喫茶店で話していたときに比べ、激変する。
ある事案で被害者は1800万円を要求し、加害者の保険会社は400万円を提示したとしよう。その場合、客観的には、1000万円ぐらいが妥当な金額で解決の目安だと仮定する。こういうときは、実は双方とも「しかたないから1000万円ぐらいでかたづけばいい」という考えが、気持ちのどこかにあったりするものだ。
逆に訴訟になっていない示談交渉の段階では保険会社はなんだかんだと理屈(または屁理屈)をこねて同じ1000万円でも簡単にはOKしない。訴訟になって裁判官から1000万円の和解案が提示されてはじめて「裁判官がそういうのだから、OKせぜるをえないだろう」をいう思いが走る。もし和解案を蹴れば、判決になってしまう。判決になれば、1000万円に加えて弁護士費用や遅延損害金など、もっと高額を払わせられるハメになりかねないからだ。裁判になると、出ししぶっていた保険会社の責任者は、こんな心理的プレッシャーが加わるのである。
裁判所の和解勧告や判決にもとづいて払うのなら、後日、大蔵省の監査を受けたときも容易に弁明できる。担当責任者の責任を本社のおえらがたから追及されることもない。つまり保身のために気を遣う必要もない。
交渉の場を喫茶店から裁判所に移すだけで、このようなもろもろの要素が、保険会社に支払いをしやすくしているのである。
「当社ではこれ以上出せません。これに不満なら、あとは裁判でも起こしてください」 これは、損保会社の査定マンが被害者との示談決裂に際して、口癖のように発する言葉である。事情の知らない被害者からすると、これはずいぶん投げやりで、不誠実で強圧的言葉のように受け取れるだろう。この言葉の裏には、実は次のような言葉が隠されている。
「今の話し合いの過程ではこれくらいしか出せませんが、裁判になればもっと出せると思いますよ。じつはこれが損保の体質でしてね。大きな声ではいえませんが、サラリーマンの私も本当は困ってるんですよ。もっと出してあげてもいいと、私自身、心の中では思うのですが、上司が『うん』と言わないものですから。そんなわけで、ご面倒でも、あなたのためにも裁判を起こしていただいたほうが、よろしいのではないでしょうか」
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