新聞・雑誌掲載
2012年4月、京都・祇園で、軽乗用車が暴走し、通行人の男女7人が死亡、12人が重軽傷を負った事故から10年が経ちました。
この事故を機に厳罰化の声が強まり、改正道路交通法が平成26年に施行されています。同法により、運転免許の取得・更新時における患者の病状申告が義務化され、虚偽申告した場合の罰則規定も設けられました。
しかし、その後もてんかんが関係する事故は減っていません。その理由としては、てんかん患者が、正しく自分の病状を申告しないことも原因しています。
そこで、てんかん患者の運転免許の取得・更新時における病状申告について、現行法をふまえて識者としての意見を求められました。
現行法では、医師が患者について、てんかん等の病気に該当すると認知したとしても、医師による公安委員会への届出は任意とされ、届出がされないケースが非常に多くあります。このため、私は、「患者本人の申告だけに頼るのではなく」、医師による任意の届出制度を改め、届出及び「診断書の提出を義務化すべきだ」とコメントしました。
交通死亡事故を起こした高齢ドライバーが、事故当時、意識を失っていたもようで、その原因は、くも膜下出血発症の可能性がでてきました。
その場合、ドライバーの刑事上、民事上の責任はどうなるのでしょうか。
これについて私は、産経新聞でコメントしました。
2019年4月、池袋で車の暴走事故が起き、2人が死亡、8人が重軽傷を負いました。
この事故の被告で旧通産省工業技術院元院長・飯塚幸三被告(89)の初公判が、本年10月8日、東京地裁でありました。
公判の中で、被告は遺族に「おわび」したものの、過失運転致死傷罪については、無罪を主張しました。
自分には過失はなく、車に欠陥(異常)があった、という言い分です。
検察側の検証によれば、当時、飯塚被告が運転していた車にはどこにも不具合はなく、「アクセルを踏み込んだことや、ブレーキを踏んでいなかったことを示すデータがある」(2020年10月9日付朝日新聞の記事より)そうです。
これだけの物証がありながら、事故を車のせいにするという態度は傲慢であり、本人が自分の過失を認識せず、反省の姿勢が見えないと評価せざるをえないでしょう。
デイリー新潮では、この問題をとりあげました。
その記事では、別件の同種事案の被告の主張(一審無罪、二審で被告本人が有罪を主張)と比較して、飯塚被告の態度を論じ、私も随所で私見を述べました。
2019年12月1日に、道路交通法の一部が改正され、車を運転しながら携帯電話を使用した場合の罰則が、強化されました。
東京ウォーカーでは、どのようなケースが、強化された罰則の適用になるのかを検証し、それについて私が逐一コメントしました。
この記事は、ウェブ上で2019年12月26日~2020年2月15日まで配信されました。
2019年4月、東京・池袋で車を暴走させ、松永真菜さん(31)と娘の莉子ちゃん(3)が死亡した事故(池袋暴走事故)について、11月12日、車を運転していた旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長(88)が、自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷罪)容疑で書類送検されました。
この事件で、今後どのような手続きがとられるのか、厳罰を求める署名の多さや加害者が高齢であることが、どう量刑に影響するかなどの点について、毎日新聞より意見を求められ、私は下記のようにコメントしました。
*今後の検察側の対応については、過失、結果とも重大であることから、公判請求をする可能性が高い。
*量刑については、量刑相場にてらして、禁錮5年の実刑判決が相当とみている。ただ、元院長が当初、「ブレーキが利かなかった」などと嘘の説明をしたため、悪質性があると考え、個人的には法定刑上限の禁錮7年の量刑でもおかしくはない。
*本件は、被害者の遺族が元院長の厳罰化を求めて39万人以上の署名を集めた。これだけの署名があり、世論の関心も高いと、裁判所も国民感情に配慮せざるを得ないだろう。
*元院長が88歳と高齢である点については、量刑を軽くする材料にはなりえない。
2018年9月、福井県で、僧侶の方が僧衣を着て運転中、警察官に見とがめられ、交通反則切符(青切符)を切られました。その理由は、福井県の道路交通法施行細則によれば、運転に支障がある履物や衣服を着て車両等を運転することは、違反行為とされているからです。
青切符を切られた僧侶の方は、¥6,000の反則金の支払いを通告されましたが、納得がいかず、支払いを拒否しました。
僧侶にとっては、僧衣を着たまま檀家などに出向くことは、正当な業務行為に付随する行為です。
この問題は、仏教関係者に波紋を投げかけ、強い反発を招きました。僧衣を着たままでも自動車の運転に支障がないどころか、縄跳びすらできる、という映像まで投稿されています。
今回、福井県警に対する反発が広がり、事態を重く見たためか、福井県警は、違反とされた行為を検証した結果、証拠の確保ができなかったという理由で、検察庁への送致を見送る決断をしました。
週刊新潮編集部から、私は意見を求められました。
「福井県のような衣服についての細則が設けられているのは全国でも15の県にとどまっており、京都府や東京都では、衣服についての制約規定はありません。
してみると、京都府で違反にならないのに、福井県に入ったとたん、違反になるという、きわめて不合理な結果を招くと思います。明確な基準がないままに、このような施行細則を機械的に適用するというのは、県警としてもやりすぎであって、不公平感を招かないように広報に努めるという配慮が必要だったでしょう」
という観点より、コメントしました。
2018年9月、福井県警は、僧侶の方が僧衣を着用して車を運転していたとして、交通反則切符(青切符)を切り、反則金¥6,000を支払うよう、要請しました。
僧侶の方が支払いを拒否したことにより、話題が広がっています。
県警は福井県道路交通法施行細則で「運転に支障がある履物や衣服での車両の運転」を禁止しています。
しかし、僧衣の着用が一律に運転に支障があるとはいい切れず、僧侶が属している仏教団体の反発を招いています。
これについて、私は、細則で和服の着用を禁止しているのは、福井県をはじめ全国で15件にとどまることから、違反の対象にするのであれば、県警としても、もう少し広報活動に努めるべきではないかとコメントしました。
自転車に乗った男(医師)が交差点で乗用車に接触し、避けようと急ハンドルを切った乗用車が、近くにいた自転車の40代の女性をはねました。女性は脳挫傷で一時重体となり、今も通院中だといいます。
この事故に関し、自転車の男は被害者を救助することなく、こわれた自転車を放置し、タクシーに乗って現場から逃走しました。
男はその後、重過失傷害とひき逃げ(救護義務違反)の容疑で書類送検されました。男はイヤホンをつけたまま自転車を運転し、車と接触したとみられています。
日経新聞では、「はねなくても『ひき逃げ』」との見出しのもと、この事故を取り上げました。
この中で私は、「交通事故の関係者は自分が人をはねていなくても、事故を誘発した場合には、けが人の救護義務が発生する。何もせずに立ち去れば『ひき逃げ』に問われる可能性がある」と解説しました。
「イヤホンをつけて外部の音を聞こえないようにするのは、きわめて危険であり、そのような状態で事故を起こした場合には、過失を問われる可能性は高い」旨をコメントしました。
2018年12月6日の日本経済新聞に、近年急増している「あおり運転」トラブルに関する特集記事が載りました。
その中で、あおり行為への自衛策として、私は次のようにコメントをしています。
「あおり運転対策としては、記録映像を残すドライブレコーダーを装備し、それを示すステッカーを車体に貼るのが効果的。もし標的になった場合は、すぐにサービスエリアや防犯カメラがあるコンビニなどに駐車して110番すべき。相手が降車して近づいてきても車内にとどまってほしい」
あおり運転の被害は、当事者双方の言い分が異なるなど立証が難しいため、ドライブレコーダーの映像やカーナビの記録など、客観的な証拠を確保しておくことが重要です。また、あおられた際に高速道路の車線上で停止すると大事故になりかねませんので、まず最初に安全な場所へ避難するようにしてください。
「あおり運転」による事故やトラブルを避けるためには、日頃からこうした自衛策を念頭に置き、もしものときに落ち着いて対処できるようにしておく必要があります。
2018年8月4日、土曜版1面にドライブレコーダーの販売台数が増えているという特集記事が載りました。
その中で、ドライブレコーダーは「損害賠償の決め手」にもなると、私は次のようにコメントをしています。
「映像が決め手になって、過失割合がゼロと立証できたケースがあります」
「従来は証言頼りだった点も、映像だと容易に判断できます」
損保の自動車保険の特約付きのドライブレコーダーは、事故の際、損保側のオペレーターから安否確認の連絡が入ったり、ブレーキやアクセル、ハンドリングを評価してくれ、安全運転のチェックにも使う動きが出始めています。
あおり運転をされたとき、事故の状況を映像化しておくことは、自分の身を守るためにも、今後ますます重要と思われます。
「事故の見える化や、安全サポートなど機能が広がっており、市場拡大が続く」でしょう。
2017年8月25日に、徳島県鳴門市の徳島自動車道で、路肩に停車していたマイクロバスに大型トラックが追突し、2人が死亡、14名がけがをするという重大な事故が起きました。
この事件の判決が、2018年1月24日、徳島地方裁判所であり、加害者の男性に禁固4年の実刑判決が言い渡されました。
これについて、私は徳島新聞から判決に対する意見を求められ、下記のようにコメントしました。
「求刑が禁固7年であったのに対し、判決が禁固4年というのは軽すぎます。
加害者は居眠り運転でした。
結果の重大性を考えますと、せめて、禁固6年くらいでもよかったでしょう。
また判決の量刑に関する判断の部分では、被害者側の過失は重視しておらず、加害者の過失の大きさを指摘しています。そう指摘するのであれば、量刑をもっと重くするべきです。禁固4年という量刑は、おそらく、他の判例などの量刑相場に影響されたからでしょう。
2人死亡、14名が受傷という重大な結果と比較して、この判決論旨は、整合性を欠くように感じられてなりません。」
警察庁は、2017年1月から6月までの高速道路での
「あおり運転」の摘発件数を、3057件と発表しました。
これをうけて、私はあおり運転をされた場合の対策として、
- クラクションを鳴らしたりせず、車間距離をとる
- 停止させられ、相手が車から出て来た場合、急発進して逃げる
- スーパーやコンビニエンスストアまで逃げ、監視カメラ前で110番通報する。
等を提案しました。
あおり運転をされた場合の被害をくいとめる対策として、私は次の4点をあげました。
- できる限り車間距離をとる
- 前をふさがれたら、バックし、追い抜く
- 路肩に止めて降りずに110番
- 高速道路なら一般道へ回避
このような対策のほかに、ドライバーの方々は、ドライブレコーダーの設置が急務だと思います。
徳島県美馬市の前市長が、居眠り運転で死亡事故を起こしました。3人が死亡し、2人が重傷を負っています。
この事件で、徳島地方裁判所は、被告人の前市長に、禁固4年6月の実刑判決を言い渡しました。
この量刑について、私が徳島新聞よりコメントを求められました。
交通死亡事故の場合、その量刑は、結果の大小と過失の大小によって決まります。本件では、3人もの尊い人命が喪われた、という結果の重大性にかんがみて、検察側の求刑は、禁固7年でした。
それに対し、判決は禁錮4年6月でした。
求刑にてらしますと、量刑がかなり軽いように見られるかもしれません。おそらく裁判所は、前科がないことや自動車保険で遺族側の補償がなされる可能性が大きいこと、さらに市長としての社会的貢献度を考慮して、温情的な判決を下したのでしょう。
そのような観点から、今回の判決に対する私見をコメントしました。
神戸市内の高速道路に、小学6年生の男児が迷い込み、重傷を負うという交通事故が起きました。
明らかに人身事故ですが、被害者側から診断書が提出されていないため、県警では、「物損事故」として扱ったそうです。
被害者の親御さんが、なぜ診断書を提出していないのか不明ですが、重傷を負っているのに「物損事故」扱いというのは、明らかに事実に反します。
また高速道路には、通常、歩行者は立ち入りませんので、再発を防止するためにも、なぜ男児が迷い込んだのか、原因を究明する必要があるでしょう。
この交通事故について、私は、
「客観的にけがをした事実を確認するには診断書が必要。人身事故が物損事故として処理されると、事故統計の信頼性も薄れてしまう。歩行者がいないはずの高速道路になぜ迷い込んでしまったかを検証するためにも必ず提出させるべきだ。」
というコメントを致しました。
公道カートの事故が増えています。外国人観光客らに公道カートを貸し出す業者が増えたものの、その安全対策は後手に回っています。
「公道カートは、車と原動機付き自転車を規制する法律のはざまにある状態。事故時にドライバーが死傷するリスクが高く、シートベルトやヘルメットの着用を義務付けるなどの法整備を急ぐべきだ」という私のコメントが掲載されました。
昨年10月28日、横浜市で起きた重大事故。
この交通事故では、88歳のドライバーが運転する軽トラックにより、小学1年生の男児が死亡、6人の児童が重軽傷を負いました。
このドライバーは認知症でした。
そのため、不起訴となり、釈放されています。
このような認知症の高齢ドライバーによる交通事故が、あとをたちません。
この加害者は、運転免許が取り消されるでしょうが、現行法では、一定期間経過後に免許の再取得が可能です。
このままでは、危険なドライバーの車が、公道を走り回っていることになります。
再発を防止するためには、認知症の疑いがある方には免許証の交付を制限するとか、過去に死亡事故を起こした方には免許証を交付しないなど、早急な法整備が求められます。
「交通事故に詳しい弁護士」として、以上のような趣旨の私のコメントが掲載されました。
週刊現代(講談社刊)に、「交通事故に詳しい弁護士」として、加茂隆康のコメント記事が掲載されました。
自転車は、軽く考えられがちですが、法的には車と同じ扱いです。
あなたは、自転車の保険に入っていますか?
損害保険各社が、保険金から弁護士費用を支払う「弁護士保険」を取り入れて以来、交通事故の賠償金をめぐる裁判が増加しています。
私は、この記事の中で、「示談で済むような事故でも、弁護士が主導して裁判に持ち込むことが増えた」と指摘しました。
弁護士保険の仕組みは、被害者救済に寄与する一方で、弁護士報酬の妥当性をめぐるトラブルの種にもなっています。
これを受け、大手保険会社と日弁連は、報酬の算定基準および保険金支払い条件の見直しや、仲裁機関の立ち上げなどの対策を検討中です。
対向車がセンターラインをオーバーして、自車線に進入し、こちらに衝突してきた場合、通常はこちらの過失は0%、相手車の過失が100%と考えられています。
過失0%なら、こちらは一切、賠償責任を負いません。しかし、5%でも過失があれば、賠償責任を負います。たとえば、少しスピード違反があったとか、前方注視を怠っていたとか。
しかも、こちら側に過失が一切ないことの立証責任は、こちら側にあります。「無過失」の証明ができない場合には、自賠法という法律により、賠償責任を課せられます。
2015年4月13日に出された福井地裁の判決は、このようなもらい事故側に4000万円の賠償を命じたもので、ドライバーの間で、「ええっ? そんなぁ!」という思いが走ったようです。
このケースは、センターラインオーバーをした加害車両の助手席に乗っていた方が、死亡したケースでした。このようなケースの場合、加害車両の運転手に責任があるのはもちろんです。しかし、もらい事故側の車にも、いくばくかの過失があれば、「共同不法行為」として、ぶつけられた側にも賠償責任が発生します。しかも、共同不法行為の場合、賠償請求権者は、どちらの車側に対しても、100%の金額を請求できることになっています。
こうしたことから、遺族は、もらい事故側に損害賠償請求をしました。
もらい事故側には先行車が2台あり、その2台は、対向車線から来る車がセンターラインをはみ出して走行してくるという異常に気づいており、自車を路側帯に寄せて、衝突を回避していました。それに対し、3台目にあたる今回の被告車両側は、そのような措置をとっていませんでした。してみると、その運転手の方は、本当に前方を注視していたのか、なぜ衝突の回避措置を取れなかったのか、つまり無過失と言えるのかという疑問が、裁判官の脳裏に浮上したようです。
審理の結果、福井地裁は、もらい事故側の運転者に過失があったとは言い切れないものの、過失が全くなかったことの「証明」ができていないとの理由で、4000万円の支払いを命じました。つまり、被告側において、「無過失」の立証責任が果たされていないと判断したのです。
この判決から読み取れるのは、いかにもらい事故であったとしても、自分が「無過失」であることの証明ができない限り、責任を負わされる場合があるということです。そのリスクを回避するためには、ドライブレコーダーを付けることだと思います。
このことを、私は記事の中でコメントしました。
危険ドラッグを吸引しての運転で、事故が多発しています。
危険ドラッグは、「大麻の10倍以上の効き目がある薬物」とある検察幹部は言っています。
それにもかかわらず、危険ドラッグを吸引しての運転に対し、適用すべき罰則規定が整備されていません。
危険運転の適用範囲を広げた自動車運転処罰法において、「運転が困難な状態を認識できていた」なら、刑の重い第2条が適用され、懲役20年以下となります。
それに対し、上記認識には至らず、その一歩手前の「運転に支障が生じるおそれがある状態の認識」にとどまるときは、2条より軽い3条が適用され、懲役15年以下となります。
危険ドラッグを吸えば意識不明になる可能性が高く、運転が困難になることは容易にわかるはずです。
大量に飲酒して酩酊状態で運転したなら、第2条が適用されて懲役20年以下なのに、酒よりも危険度が高い危険ドラッグを吸って運転したのに、飲酒酩酊よりも軽い15年以下、というのはどう考えても不合理です。法に不備があると言えるでしょう。
私は法整備の必要性について、「服用自体が違法な覚醒剤や危険ドラッグを、アルコールや睡眠薬とひとくくりにするのは無理がある。違法薬物を使用しての運転は、別枠の罰則規定にした方がいい」とコメントしました。
西日本新聞に、加茂隆康がコメントしました。
加害者が脱法ハーブなどの危険ドラッグを吸って、交通事故を起こすケースが、最近頻発しています。
このようなケースでも、加害車両側に付けられていた自動車保険は免責とはなりません。被害者への保険金は速やかに支払われるのが筋です。
ところが、損保からの被害者への支払いが、審査を理由になかなかなされず、被害者が困惑するケースが目立っています。
損保側のあからさまな「不払い」が、このようなケースでも露呈しています。
「損保各社は審査をいたずらに長引かせず、被害者救済を第一に対応すべきだ」という私のコメントが掲載されました。
多発する踏切事故。
以前からその危険性が指摘されているにもかかわらず、抜本的対策は一向に進んでいないことが、東京新聞の調べでわかりました。
開いてからわずか10秒で警報音が鳴りだす踏切。これは今年8月に高齢者がはねられて死亡した横浜の踏切です。足腰の弱ったお年寄りは渡りきれないのは当然でしょう。
安全対策には高額の費用がかかるため、自治体と鉄道会社は責任を押し付けあっているのが現状です。
この記事の中で、
「2006年に指摘を受けながら必要な措置を取っていないのは、鉄道会社や自治体は管理上の瑕疵を問われてもしかたない。早急な安全対策をとるべきだ」
という私のコメントが掲載されました。
10月5日夕方、山口県美弥市の中国自動車道で、タレントの「桜塚やっくん」とマネージャーの男性が、別々の車にはねられ、死亡しました。
桜塚やっくんの運転するワゴン車は、同乗者4名と仕事先へ向かう途中、中央分離帯に衝突する事故を起こしました。
その後、2人が別々に外へ出たところを、後続の車に相次いではねられたものです。
この事故の加害者の刑事責任と民事の損害賠償責任について、加茂隆康のコメントが掲載されました。
加茂隆康が、「フライデー」にコメントしました。
7月26日、愛知県下の伊勢湾岸道で、乗用車が突然アクセル故障により車道中央付近で停止してしまい、そこへトラックが追突するという事故が起きました。追突された乗用車はレンタカーでした。
この事故で、男性1人と子供2人が死亡しました。
この事故の責任は誰にあるのでしょうか。
8月9日(金)発売の「フライデー」(講談社)ではこの問題を取り上げ、私がコメントを致しました。
この事件の判決のニュースは、子供を持つ親に衝撃を与えました。
自転車は、自動車と違って軽視されがちです。しかし、いざ事故になった場合、保険の有無は大きな問題となります。あなたは、自転車事故をカバーする保険に入っていますか?
加茂隆康が、読売新聞・大阪版にコメントしました。 (平成25年7月14日・日曜日掲載)
7月4日、神戸地裁で加害者の母親に約9500万円の支払いを命じる損害賠償請求事件の判決がありました。
これは5年前、当時小5の児童の自転車が起こした事故で、被害者の女性は今も意識不明の重傷です。
この判決を受けて、自転車事故のための保険加入が急増しています。
自転車は四輪の自動車と同様、事故を起こせば、被害者・加害者、それぞれの人生を大きく狂わしかねない危険をはらんでいます。
読売新聞・大阪版で、この判決を教訓とすべき視点につき、私がコメントしました。
加茂隆康が、読売新聞にコメントしました。
2009年に横浜市でひき逃げ死亡事故が発生しました。
加害者の男性は、事故当時、無自覚性低血糖による意識障害のため、事故を起こしたという認識がなく、刑事裁判では無罪判決をうけていました。
ご遺族が加害者の男性を被告として損害賠償を求めた民事訴訟の判決が、2013年3月8日、東京地裁で言い渡されました。
被告側は、責任能力の欠如を理由に、請求棄却を求めていましたが、裁判所は原告側勝訴の判決を下しました。
その理由は、
1.民法713条(精神障害による事故での賠償責任の免除)の規定は、自賠法第3条による運行供用者責任には適用されない。
2.自分の病状の適正な管理を怠っていた場合には、過失責任を免れない。
としたことにあります。
最近、てんかん、その他の意識障害で交通事故を招くケースが散見されます。
この判決は、このような精神障害による事故での民事責任を認定した先駆けとなるもので、良識にかなった、有意義なものだと思います。
他の疾病で起きた交通事故にも広く適用できる模範的な判決といえるでしょう。
私は高く評価しています。
今週発売の「フライデー」(講談社)に、加茂隆康がコメントしました。
1月11日(金曜日)発売です。
千野志麻(チノ シオ)さんの交通死亡事故について、予想される賠償金額や刑事処分の見通しについて、簡潔にお話ししました。
どうぞご覧ください。
1月9日(水)発売の「週刊新潮」に、フリーアナウンサーの千野志麻(チノ シオ)さんの交通死亡事故が取り上げられました。
この中で、将来の刑事処分の見通しと、示談や予想される賠償金額について、私が簡潔にコメントしました。
どうぞご覧ください。
保険というものは、生命保険も損害保険も、いざというとき(つまり事故が起きたとき)、保険金が支払われることを想定して加入します。
ところが、実際に事故が起きると、肝心の保険金が支払われないケースが後をたちません。生保や損保による保険金不払いが横行しています。
2005年から2006年にかけて、たくさんの生保や損保、共済が、金融庁から業務停止や改善命令を受けました。
それでも、実務上の運用は、いまだに改まっていないのが現実です。損保に関する不払いの実態は、拙著「自動車保険金は出ないのがフツー」(2010年 幻冬舎新書)に書いた通りです。
2012年12月20日(木)発売の週刊ポストでは、この保険金不払いを取り上げています。
この中で、内情や問題点を私がコメントしました。
ぜひお読みになってみて下さい。
- 高知新聞
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- 南日本新聞
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2011年に奈良市で死亡事故を起こし、自動車運転過失致死罪に問われた男性がいます。
この方は「網膜色素変性症」で、視野が狭くなっており、それが原因で死亡事故を起こしました。
奈良地裁は、「視野欠損で、左前方にいた被害者を見つけることが可能だったか、疑いが残る」として、過失責任を否定し、無罪を言い渡しました。
しかし私は思います。
視野狭窄があるなら、ふだんの生活で自覚症状があったはずで、事故を起こすかもしれないという予見可能性はあったと考えるのが普通ではないか、と。
裁判所は、男性が「難病」と認識したのは、事故から半年以上後だった、としています。
しかし、難病の認識が事故後であったとしても、自分に視野狭窄があることはわかっていたはずです。
視野狭窄があれば、事故を起こす危険性も認識していたと見るべきでしょう。
無罪判決は健全な良識を逸脱していると私は思います。
このような私のコメントが、2012年7月10日に高知新聞・南日本新聞に掲載されました。
私(弁護士・加茂隆康)のミステリーデビュー作「死刑基準」が、WOWOWでドラマ化されました。
この番組紹介記事が、産経新聞2011年9月25日付朝刊に掲載され、映画解説者の稲田隆紀様から、高い評価をいただきました。
放送をご覧いただいた視聴者の皆様からも
「難しいテーマだと思ったが、たいへん面白く、一気に見てしまった」
とのご好評を多くいただきました。
2012年4月21日には、DVDが発売されます。ご覧いただければ幸いです。
出 演 : 山本耕史、小澤征悦、戸田菜穂、柄本明、光石研 ほか
WOWOWの「死刑基準」オフィシャルサイトはこちらです。
URL:http://www.wowow.co.jp/pg_info/detail/060487/
2011年5月24日、3人を死亡させた交通事故の加害者(元少年)に対し、東京高裁で1審より重い禁錮6年の判決が宣告されました。
このケースでは、事故当時少年だった加害者の男性が、長い時間、前方を見ず、並走する別の車とカーチェイスまがいのことをしていました。
制限速度時速20km超のスピード違反があるうえに、赤信号を無視して交差点に突っ込んだため、対向右折車と衝突、その反動で、信号待ちしていた歩行者3人に自車を衝突させて死亡させたというものです。
ご遺族の方は、危険運転致死罪の適用を望まれたようですが、危険運転致死罪を適用するためには、たとえば飲酒とか、制御不能なほどのスピード違反といった構成要件を満たさなければなりません。
「乱暴な運転であれば危険運転と思われがちですが、同罪で規定されている危険運転とは異なる」ケースでした。
加害者は事故当時少年であったため、1審では、禁錮4年以上5年以下という不定期刑を言い渡しています。
この点、東京高裁は禁錮6年という重い刑に変更しました。
その要因は、危険運転致死罪は適用されないものの、かなり危険な運転をしていたという過失の重大さに加え、
「3人が亡くなったという結果の重大さを考慮したのでしょう」
と私(弁護士・加茂隆康)はコメントしました。
兵庫県伊丹市の市道にできた轍にハンドルをとられ、乗用車の底に傷ができるという事故がありました。
被害にあった車は、高級外車のフェラーリです。この事故で、伊丹市は修理代など56万円を被害者に支払いました。
道路上の轍や穴を放置して事故が発生した場合、その道路の管理者(国道なら国、県道、市道なら県や市)に道路管理上の過失があったと考えられます。この場合、国や地方自治体が損害賠償責任を負います。
読売新聞に下記の通り、私(弁護士・加茂隆康)のコメントが掲載されました。
「判例上も、自治体の責任を厳しく問う流れがてきている。自治体には、事故やトラブルを防止するために、高い注意義務が課せられていると認識すべきだ」
あなたが裁判員になった時、危険運転致死傷罪と業務上過失致死傷罪は、どのように使い分けたらよいのでしょうか。
危険運転致死罪は、
① アルコールや薬物の影響で正常運転が困難な状態での運転
② 制御が困難な高速運転
③ 人や車の通行を妨害する目的での割り込み運転
④ ことさらな信号無視
などで人を死亡させたケースが処罰対象となります。最高刑は懲役20年です。
これまでの判例では、①、②(特に①)のケースでの適用例が圧倒的に多くなっています。
けれども呼気中のアルコール濃度がどれくらい以上か、また制限速度を何キロオーバーすれば適用になるのかといった、数値による基準があるわけではありません。
この記事の中で私(弁護士・加茂隆康)は、「これまでは、悪質な運転で重大な結果を生じさせたのに、処罰が甘すぎた側面がある」と指摘しました。
福岡市の飲酒運転による3児死亡事故についは、2審の福岡高裁で原判決を覆し、危険運転致死罪を適用して懲役20年の刑を宣告しています。
私は「危険運転致死罪を適用した2審判決は良識を持った正当な判断だった」とコメントしました。
また、「危険運転致死傷罪の適用に迷うこともあると思う。裁判官が法律の要件をきちんと説明して、裁判員が厳密に検討することが大切になる」という裁判員の方へのアドバイスを致しました。
2006年8月、福岡市で起きた飲酒運転による3児死亡事故は、まだ記憶に新しいところです。
この事件につき、2審の福岡高等裁判所は2009年5月15日、加害者である福岡市職員今林大被告に懲役20年の刑を言い渡しました。
これは一審判決を覆し、危険運転致死罪の適用を認めたことによるものです。 被告は当時、酒に酔っていたことを認めており、居酒屋でも、座ろうとして体のバランスを崩すほどでした。
こうした状況を踏まえれば、危険運転致死罪の適用は至極当然で、1審が業務上過失致死と道交法違反の罪だけで懲役7年6月にとどめたのは、非常識の謗りを免れませんでした。
今回の福岡高裁の判決は、その非常識を正したといえます。
西日本新聞には、下記の私(弁護士・加茂隆康)のコメントが掲載されました。
「市民感情に沿い、健全な良識を働かせた認定・判断であり、ようやく裁判所に正義が復活したと言える。『飲酒運転は許されない』という強いメッセージが読み取れる。一審判決は理論的に考え過ぎて、市民感情からかけ離れていた。今月スタートする裁判員制度は、世論の動きを柔軟に刑事裁判に反映させる制度で、危険運転致死傷罪も対象になる。裁判員にとっても一つの指針となる、意義ある判決だ。」
福岡市の市道でオートバイを運転中の大学生が、交差道路から出てきて右折しようとしていた乗用車と衝突し、死亡しました。
この事故では、オートバイ側が広い優先道路を直進しており、脇道から優先道路に進入しようとしていた乗用車側に圧倒的な過失があります。
ところが、検察は乗用車を運転していた男性を不起訴とし、遺族側の異議を受けた福岡検察審査会も「不起訴相当」としました。
そこで大学生の遺族は、加害者を相手どって長崎地裁に民事訴訟を提起しました。同地裁では、乗用車側の過失は重大だとして6700万円の賠償を加害者に命じました。
このケースについて、次の通り私(弁護士・加茂隆康)のコメントが掲載されました。
「乗用車の位置は進路を妨害するようなもので、『過失は重大』とした判決の認定通りだと思う。
死亡という結果の重大性を考えても、乗用車の男性に厳しい処罰を下すのが当然で、検察はなぜ起訴しなかったのか、疑問が残る。
これでは遺族が可哀想だ。」
検察側も検察審査会も、このような死亡事故のケースで加害者を処罰しないというのは、常識を疑いたくなります。
本件では、事故から5年以上経っていて、公訴時効が完成している可能性があります。検察側の非常識が被害者遺族に酷な結果を招いたといえましょう。
人身事故の損害賠償においては、男女間で差別が生じる局面があります。
その典型が顔の傷です。5センチ以上の大きな傷が残った場合を想定してみましょう。自賠責の基準では、女性なら7級(1051万円)になるのに対し、男性では12級(224万円)にしかなりません。これは自賠責の基準がもともと1936年の工場法施工令による古い表をもとにしているからです。
その一方、子供の逸失利益算定にあたっては、男女差のある厚労省の「賃金センサス」という統計を用いるため、女の子の方が男の子よりも、生涯得られる収入を低く算定されます。
女の子の場合、最近でこそ男女計の平均年収を基礎にする傾向が出てきましたが、それでも男子の平均年収よりは低いですから、男女の差は解消していません。
このような男女間差別は、被害者が男性か女性かによって、不公平感を招きます。自賠責の基準を含め、見直す時が来ているように思います。
この記事では、男女間差別の問題について、コメントしました。
12歳の兄の眼前で、9歳の妹が交通事故で死亡した場合、兄には慰謝料が認められるでしょうか。民法では、被害者の両親、配偶者、子には慰謝料請求権を認めているものの、兄弟姉妹については規定がありません。秋田地裁は、加害者に対し、この兄へ慰謝料200万円を支払うように命じました。 有意義な判決であり、これについての私(弁護士・加茂隆康)のコメントが掲載されました。
美輪明宏さん運転の乗用車が、バイクと接触するという交通事故を起こし、美輪さんが書類送検されたとの報に接しました。容疑事実は、業務上過失傷害罪と事故の報告を怠ったという道交法違反です。
しかし、事故状況を週刊朝日の取材班からうかがってみますと、この容疑事実にはかなり疑問が残ります。
というのは、美輪さんの車の傷の状態からして、事故はバイクが美輪さんの車に後方から接触していったと見てとれるからです。加害者はむしろバイク側であり、美輪さんは被害者ではないかという思いを強く抱きます。
安易にお金で済ませようとせず、美輪さんが自分こそ被害者だと信じるなら、その主張を検察庁で貫いていただきたいと思います。
以下の、週刊朝日の私(弁護士・加茂隆康)のコメントは、このことを解説したものです。
「道交法で定める事故の報告義務は、一般的に過失のある者に課せられる。美輪さんが完全に被害者の意識であったなら、事故の不申告に故意はなく、罪には問われない。業務上過失傷害罪は、相手がケガの診断書を持ってくれば、わずかな過失でも犯罪が成立し、警察が立件せざるを得ない面もある。
だが、検察が刑罰を科すべく起訴するかは過失と結果の両方の大小で量られる。ケガの程度が小さく、さらに過失も小さいとすれば、不起訴となる公算が大きい。警察がAさん(バイクの運転者)の言い分を採用した理由は不明だが、美輪さんが証拠を提出し、検察に自分の主張をキチンと伝えれば、無罪となる可能性もある。罪を認めれば『前科者』の身分となり、次の事故の際により重い刑罰が科せられるなど、単にカネで済む問題ではあり得ない」
交通事故で顔に傷に残った場合、男女間で自賠責保険の評価が違うことをご存知でしょうか。女性なら大きな傷が残ると後遺障害等級7級、小さな傷は12級とされるのに、男性なら大きな傷でも12級、小さな傷なら14級にしかなりません。
これは男女差別だと私(弁護士・加茂隆康)は思います。等級の違いは、そのまま保険金や賠償金にはね返ります。
今回は例をあげて、顔に傷が残った場合の保険金額の違いや、職業によって異なる逸失利益の考え方をご説明しました。
交通事故では、過失割合が問題になります。損害賠償の考え方として、加害者側は被害者の全損害額から、被害者の過失割合分を差し引いて支払うのが建前だからです。この考え方を「過失相殺(かしつそうさい)」と呼びます。
今回は、例をあげて、細かく類型化された過失割合の基準に基づく算定方法をご説明しました。
日本人が海外で交通事故にあった場合、その補償はどうなるのでしょうか。
海外で起きた事故には、事故の結果発生地の法律を適用することになっています。交通事故のほとんどのケースは、死亡とか傷害という「結果」が現地で起きますので、現地法が適用されます。
例外は、加害者、被害者の双方が日本に常居所を持っている場合で、このときは日本法を適用する道も開けています。
原則として現地法を適用する結果、国によっては、日本人の感覚とかけ離れた著しく低額の補償しか受けられない事態が生じます。発展途上国の場合には特にその傾向があります。
また現地国の法制がよくわからず、日本国内の事故のように、補償交渉がすんなりとは運びません。
海外に出かけるときは、ぜひ海外旅行傷害保険に加入していただきたいと思います。
飲酒運転に対し、厳しい目が注がれています。いわゆる「逃げ得」を防ぐために、私(弁護士・加茂隆康)は「飲酒ひき逃げ罪」や「飲酒証拠隠滅罪」を設け、より厳罰化をはかる必要があると提唱してきました。今回のコラムでは、その問題点をご説明しました。
平成19年2月現在、与野党はひき逃げの罰則を強化する法律の改正案を検討中です。国会で積極的な審議の上、一日も早い成立が待たれるところです。
北海道江別市で2003年2月に高校生がひき逃げされ、死亡した事故の民事訴訟の控訴審判決がありました。これは、遺族が「運転者だけではなく、同乗者も一緒に飲酒したのに運転を止めず、ともにひき逃げした」として加害運転者だけでなく、同乗者にも賠償を求めて提訴していた事件です。
札幌高裁は「(事故時は寝ていて)被害者に気づかなかったという同乗者の供述は信用できない。救護義務を果たさず被害者は放置された」として、同乗者の責任を認め、運転者とともに慰謝料など330万円の支払いを命じました。(運転者には単独で約7900万円の賠償も命じました。)
「ひき逃げは同乗者にも責任があることを厳しく指摘し、警鐘を鳴らす点で画期的な判決です」という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが掲載されました。
家電量販最大手の「ヤマダ電機」社長の長女(当時26歳、同社社長室長として勤務)が交通事故で死亡した事件で、両親は加害者の男性(25歳)を相手取って、総額約7億2600万円の損害賠償請求訴訟を起こしていました。長女が将来、社長になることを前提として逸失利益を計算し、慰謝料などを加えてこのような高額の賠償額を決めたといいます。しかし前橋地裁の判決はこれを認めず、6700万円の支払いを命じただけでした。
この長女の場合、前職が看護師という全く畑違いの仕事をしており、長女が将来、「ヤマダ電機」の社長になるかどうかは不確定要素が多く、裁判所はその蓋然性(高度の可能性)を疑問視したのではないかと思います。
この点について、「一般的な交通事故を巡る裁判としては妥当だ。高額な賠償請求をする場合、相当高度な蓋然性が求められる。社長になるという立証のハードルは相当高かったのだと思う」という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが掲載されました。
飲酒運転を撲滅するためには、飲酒運転をした本人を処罰するだけでなく、酒を勧めた同僚や車を運転することがわかっていながら酒を提供した店側も取り締まることが必要です。しかし、現在の道路交通法では、これらは飲酒運転の教唆犯(そそのかした罪)や幇助犯(手助けした罪)としてしか立件できません。
教唆犯、幇助犯は従犯といいまして、正犯(この場合は酒酔い運転、酒気帯び運転をした者)より刑が軽くなるのがふつうです。
私(弁護士・加茂隆康)はこの際、酒を勧めたり提供したりする行為を従犯としてではなく、独立した1つの罪として罰則を設けるよう法改正するべきだと思います。
そして一番必要なのは、飲酒に甘い国民の意識改革です。
「安易に運転者に酒を飲ませる日本人一人ひとりの意識を変え、重大な犯罪に結びつく危険な行為との認識を植えつける必要がある」という私のコメントが本紙に掲載されました 。
平成13年10月、千葉県成田市で酒気帯び運転の乗用車にはねられ、被害者(現在42歳・男性)が植物状態になった事故がありました。被害者の家族が加害者に対し約4億1000万円の損害賠償を求めた裁判で、裁判官は、加害者が酒気帯びの上、ノーブレーキで被害者をはねていることから、「被害者に相殺されるべき過失はない」として、加害者に約3億円の支払いを命じました。
交通事故の民事訴訟で認められる損害賠償額は高額化する傾向にあります。 「賠償額が高額化してきたのは平成15年ごろから。」特に、飲酒運転や大幅なスピード違反などドライバーが悪質と考えられる場合の死亡事故の慰謝料は増額される傾向にあり、「悪質運転に対する世論の動向を踏まえている。」この傾向は今後も変わらないだろうという私(弁護士・加茂隆康)のコメントを含んだ記事が掲載されました。
暴走自転車の事故が急増しています。警察庁では、今年5月から自転車の取締りを強化しました。自転車は「軽車両」に該当し、道交法の規制の対象になります。また事故を起こしたら当然賠償をしなければなりませんが、自動車と違って自転車には強制保険はありません。
自転車安全整備士のいるお店で、整備点検済みの自転車を購入しますと、TSマークをつけてもらえます。このマークのある自転車には、保険が自動的についています。ご自分で「個人賠償責任保険」などに加入するのも一法です。
主婦が交通事故でケガをした場合、休業損害や逸失利益はどう計算されるのかご存知ですか。家事労働には給与はありませんので、厚生労働省発行の「賃金センサス」(平均賃金)にもとづき算定されます。例えば、2005年度の賃金センサスでは、主婦の家事労働は年収にして約343万円とされています。
今回は、いろいろなタイプの家事従事者の補償について説明致しました。
生保や損保の保険金不払いが問題化しています。金融庁から業務停止という厳しい処分を受けた会社も出ています。今回のコラムでは、私(弁護士・加茂隆康)が扱った裁判をひきあいに、損保がどのような理由をこじつけて不払いを正当化しようとしたかを具体的に紹介しました。
特に車両保険金に関しては、損保の不払いがあとを絶ちません。それというのも、車両保険の場合、原因となる事故が偶然発生したものであることの立証責任が被害者(保険金請求者)にあるとされてきたからです。最高裁は今年6月、「(車両保険金については保険金目当ての)故意の事故であることの立証責任が保険会社にある」という新判断を示しました。
つまり、被害者側で偶然性を立証するのではなく、保険会社側で故意の事故であることを証明しない限り、保険会社は車両保険金を払わざるを得なくなったのです。一般契約者の方はぜひ、このことを覚えておいて下さい。
交通事故の賠償基準には3種類あり、原則として弁護士会基準が最も高く、任意保険基準、自賠責保険基準の順で低くなります。
保険会社では一番安い基準で被害者に示談を迫ってきますので、それを鵜呑みにせず、まずは弁護士や弁護士会の紛争処理機関へご相談ください。
裁判所や日弁連交通事故相談センター、交通事故紛争処理センターでは、多くのケースで弁護士会基準を採用しています。
歩いている高齢者にぶつかってけがをさせた歩行中の若者に、賠償責任があるかどうかが争われた訴訟。東京地裁の判決では「高齢者は交通弱者。若者には注意義務がある」として、若者に780万円の賠償を命じました。歩行者同士の事故で賠償を命じられたのは、珍しいケースです。
これは商店街の交差点で、27歳の女性と、93歳のお年寄りがぶつかった事故で、お年寄りは転んで右足骨折の重傷を負いました。
「歩いている若者は、高齢者に対して自転車並みの責任を負うという判断。高齢化社会を見据えた判断としては意義がある」という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが掲載されました。
自転車の事故が急増しています。交通事故全体は減少しているものの、自転車の事故は10年前に比べて全国平均で1.3倍、東京都ではほぼ倍増していま す。
そこで警察庁では、自転車利用者の交通違反に関する指導警告や検挙措置をこれまでより積極的に推進することになりました。2006年5月23日には2人乗りをしていた女子高校生を道交法違反で摘発、交通違反切符(赤切符)が切られました。自転車といえども、重傷、死亡事故がおきています。この特集では、自転車でも守らなければならないルールや、重大事故の実態、入っていたほうがいい保険などについて、私(弁護士・加茂隆康)がご説明いたしました。
死亡事故の被害者遺族からの損害賠償請求訴訟で、裁判所が認定する慰謝料が高額化の兆しを見せています。
交通事故の死亡慰謝料には一定の基準に基づく「相場」があり、法曹関係者の間では「上限3000万円」が常識でした。しかし最近、飲酒運転などの悪質なケースでは、上限を突破する司法判断が相次いでいます。
「(高額化の背景には)加害者の運転行為や事故後の対応がひどい事故に対して世論が厳しくなり、刑罰が重くなったことの影響もあるようだ」という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが掲載されました。
任意保険に入っていない「無保険車」にぶつけられた場合、被害者自身の任意保険から保険金が支払われる「無保険車傷害条項」について、被害者の「胎児」は支払い対象になるかどうかを争った訴訟が、最高裁に持ち込まれました。この事件の2審、名古屋高裁金沢支部は、保険会社に、障害をもって生まれた子供(事故当時胎児)と両親に対し、1億円を超える支払いを命じています。加茂は「事故で死亡した胎児の両親の慰謝料を認めた例はあるが、後遺障害をもって生まれた事故当時の胎児に無保険者傷害条項を適用して保険金の支払いを命じた判決は聞いたことがない。被害者救済という保険本来の目的が高裁レベルで容認された意義は大きい」とコメントしました。
被告である保険会社はこの判決を不服として最高裁へ持ち込みましたが、最高裁でも、ぜひともこの判決をそのまま認容するべきだと私(弁護士・加茂隆康)は思います。
女子中学生が道路を横断中、時速120kmで暴走してきた乗用車にはねられ死亡するという事故が起きました。宇都宮地裁はこの民事訴訟に「加害者に100%の過失があり、被害者には全く過失がない」とし、両親の主張を全面的に認める画期的な判決を出しました。
一般的に、交通事故の民事裁判上の過失割合は、被害者側にも何らかの過失が認められる場合がほとんどです。
また、この事件では、「逸失利益に男女差をつけるのはおかしい」という両親の主張を認め、女性労働者の平均賃金ではなく、男女を合わせた平均賃金を算定基準に採用しました。
「認定表は迅速性や公平性のためにあるが、頼りすぎると本質を見誤ってしまう。今回は事故内容をよく調査して認定しており評価できる」との私(弁護士・加茂隆康)のコメントが掲載されました。
車の盗難が増えています。盗まれた車があなたの知らないうちに事故を起こしたら、誰が責任を負うのでしょうか。「わずかの間だから」と、キーをつけっぱなしにして盗まれた場合、あなたは泥棒の起こした事故の責任を取らされるかもしれません。私(弁護士・加茂隆康)が様々な判例をもとに、責任がある場合とない場合の解説をいたしました。車の盗難にあったら、何をおいても即、警察へ盗難届を出しましょう!
覆面パトカーに追われていた盗難車が、信号待ちをしていた2台の車に当て逃げしました。被害者は加害車両である盗難車が逃げてしまったため、損害賠償金を請求できません。憤懣やるかたない被害者は、「追っていたパトカーにも責任がある。修理費を払ってほしい」と言いました。この言い分は通るでしょうか。
こんな場合の法律的な解釈について、私(弁護士・加茂隆康)が説明しました。
警察官が私有車を運転中、少女をはねました。外傷もなく当人も大丈夫と言ったため、病院への搬送を後回しにしました。1時間後に警察で少女は事情を説明していたところ、痛みで首を動かせなくなり、10日間入院しました。
こんなとき、警官は救護義務違反にならないでしょうか。
この事件について、私(弁護士・加茂隆康)は、「交通事故では被害者の救護を第一に考えるべきだ。今回のケースは救護義務違反にあたる可能性があり、方々連れ回したことは人道的にも問題がある。事故に対し、最も適切な処理を求められる警察官だけに、対応が甘いと指摘せざるをえない」とコメント致しました。
車の所有者には加入が義務づけられている自賠責保険ですが、事故で死亡しても、遺族が保険金を受け取れない事例が年間2千数百件あります。その多くは「被害者本人の過失100%」として、保険金支払いを免責扱いにしたためとみられます。しかしその査定はあまりに一方的で、泣き寝入りをしている遺族が多いのです。この実態について、私(弁護士・加茂隆康)が次のようにコメントしました。
「保険会社から、過失100%だから保険金は出ないと突っぱねられ、泣き寝入りの人も多いはずだ。後で請求しようとしても2年で時効になる。保険業界も行政も、自賠責の直接請求の方法や査定の中身をドライバーに知らせるべきだ」
交通事故の被害者救済のための自賠責保険は「ノー・ロス、ノー・プロフィット」(損失もなく、利益もなし)が原則です。ところが、その累積資産は5兆円にも上ることが判明しました。それなのに、年間2000人近い死者が保険金を全く受けとれないか、大幅に減額される査定を受けています。
「莫大な累積資金は被害者に支払うべき金を払わなかったためではないか。被害者や遺族の苦渋の上に蓄積されたものであり、被害者の最低保障という自賠責保険の趣旨に反する(後略)」との、私(弁護士・加茂隆康)のコメントが掲載されました。
自賠責保険制度が制定されたのは昭和31年。ところが1996年当時、その運用面で、2つのひずみがでていました。1つは後遺障害別等級表の古さ、もう1つは自賠責保険金を支給する当時の自動車保険料率算定会(現・損害保険料率算出機構)の姿勢の悪さです。
私(弁護士・加茂隆康)はこれらの問題点を実例を挙げて指摘し、問題を改めるにはどうすればよいかを提案しました。
交通事故で、もしあなたが冤罪に陥れられたならどうしますか。
交通事故鑑定人のS氏が、シャーロック・ホームズを思わせる精緻な鑑定で、事実を解明していきます。信用できない警察・検察、期待できない裁判官。そんな中で戦うS氏の生き様を描いた猪瀬直樹氏のノンフィクションの書評です。