テレビ・ラジオ出演
いま、電動スーツケースに乗って、行動を走ったり、空港内のロビーを移動したりする訪日外国人が増えています。
大阪府警は、電動スーツケースに乗って歩道を走ったとして、中国籍の女性留学生を道交法違反(無免許運転)の容疑で書類送検しました。
これをうけて、電動スーツケースの問題点と今後の対策について、テレビ朝日「グッド! モーニング」、日本テレビ「DayDay.」からコメントを求められ、私は次のようにコメントしました。
「電動スーツケースは、原付バイクと同じカテゴリーに入りますが、原付バイクと違って、ナンバープレートもなければ、ウインカーもついていません。保安基準を満たしていませんので、日本の公道は走れません。また原付バイクの免許も必要です。」
「大阪府警の容疑は無免許運転ですが、本来は日本の公道では走れない乗り物を走らせたこと、さらに無免許だったこと、この2つの点で、違法性があったと考えられます。」
「こうした事案を予防するには、海外の旅行代理店や日本の空港などで、訪日外国人に対し、『電動スーツケースは日本の公道では走れない』ことをアナウンスする必要があるでしょう。」
ちなみに羽田空港では、ロビー内で電動スーツケースに乗って走ることを「望ましくない」として、乗らないよう要請しています。
2024年5月15日朝のラッシュ時に、JR登戸駅で、男が電車を待っていた二人の男性をホームに突き落とすという事件が発生しました。
これについて、どういう罪に問われるかを聞かれた私は、次のようにコメントしました。
「電車が入ってくれば、轢かれて死ぬことは予見できていたわけですから、殺意があったことになり、殺人未遂罪が適用されます。
2年程度の懲役になってもおかしくはないでしょう。」
この番組では、視聴者から寄せられた危険な追い越し運転の映像を取り上げ、その法的問題について、解説を求められました。
山道で、赤い車が対向車線を長い間、逆走した上、先行する青い車を追い越しました。追い越した場所はカーブで、対向車線を走っていたバイクがとっさに端へ寄り、正面衝突を回避できました。
「現場は追い越し禁止区域ではなさそうですが、こんな危険な運転は、道交法の安全運転義務違反となり、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金という罰則になっています」とコメントしました。
2023年9月5日、テレビ朝日・スーパーJチャンネルでは、視聴者から寄せられたあおり運転の映像を取り上げ、その法的問題について、解説を求められました。
「危険運転致死傷罪の適用が一応考えられるが、ワゴン車の急停止によって、バイクの運転者がけがをしたことが前提だ。…仮にけがをしていなかったとしても、引きずり倒した行為は暴行罪になる。」
とコメントしました。
2023年8月2日、日本テレビ「news zero」にリモート出演しました。
4時間も飲酒したあげく、車を運転し、死亡ひき逃げ事故を起こした男が危険運転致死罪の容疑で逮捕されました。このケースでは、男と交際していて、その車に同乗していた女も逮捕されています。
日本テレビ「news zero」では、女の逮捕に注目し、飲酒運転と知りながら同乗した場合、どの程度の罪になるか聞かれました。
飲酒運転同乗罪といいまして、運転者が酒酔い運転だった場合、それを知って同乗した者には
「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」
が科せられます。
「飲酒運転をしないのはもちろん、飲酒運転の車には絶対乗らない。
飲酒運転の車に同乗すると、決して罪は軽くないことを認識していただきたいと思います。」
リモートで、私は以上のようにコメントしました。
2023年7月18日、日本テレビ「ZIP!」に生出演しました。
番組では、2023.7.1から改正道路交通法が施行されて規制がゆるやかになった
電動キックスケーターについて、取り上げました。
16歳以上なら免許なしで乗れること、ヘルメットも努力義務に変わったこと、
音が静かで歩行者が気づきにくいことなどが紹介されました。
これに対し私は、
- 高校1年生でも16歳になれば乗れてしまうことから、学校で講習をうけさせた方がよいこと。
- 転倒すれば死傷事故につながることから、ヘルメットは努力義務から法的義務に変えた方がよいこと。
- 歩道を走る場合には、歩行者には、うしろから電動キックスケーターが来ていることは、認識されていないことを知っておく必要があること。
などを解説しました。
番組では、パリや韓国で、緩和されていた電動キックスケーターの規制が、
住民投票や法改正なので、急に強化されたという現実も紹介されました。
2023年7月3日、テレビ朝日「大下容子ワイド!スクランブル」にパネル出演しました。
番組では、2023年7月1日施行の改正道路交通法によって新設された「特定小型原付」電動キックボードの安全性、
危険性についてとりあげ、私は次のように写真付パネルで解説しました。
- 免許が不要にもかかわらず二段階右折を行う必要や自賠責保険の加入が必須となっている。
運転をする前の安全講習を義務付ける必要があるのではないか。 - ヘルメットについても車道を歩行中に転倒することを考えると、着用の義務化が必要。
電動キックボードの普及を急ぐのは分かるが、今回の改正は事故を誘発する可能性が高いのでは。
2022年12月22日 日本テレビ「ZIP!」にリモート出演しました。
2023年4月から、自転車の運転者全員に、ヘルメット着用が努力義務化されます。
日本テレビの報道番組「ZIP!」では、この問題をとり上げ、もしヘルメットをつけていなくて事故にあうとどういうデメリットを招くかについて、
私は次のようにコメントしました。
「ヘルメットを着用していなかったことが、(頭部外傷などの)損害拡大に寄与していたとみなされるケースにおいては、
賠償金が10%程度減額されるリスクがあります。
死亡事故であれば、賠償金が数百万円から1000万円程度減らされることになります。」
自転車の死亡事故では、頭部の外傷によるものがもっとも多く、その内、ヘルメットをつけていなかったケースは約93%にのぼります。
努力義務だとあなどらないで、多少格好悪くても、自転車に乗るときには、ヘルメットをかぶるようにしましょう。
2020年11月7日、愛知県で、片側2車線の一般道を逆走してくる車がありました。
テレビ朝日・スーパーJチャンネルでは、視聴者から寄せられた映像を取り上げ、その危険性を警告しました。
コメントを求められた私は、
●逆走は道路交通法の通行区分違反として、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金になる
ほか、もし人身事故を起こした場合には、
●危険運転致死傷罪が適用され、20年以下の懲役になることもありうる
旨、解説しました。
俳優の伊藤健太郎さんが、乗用車を運転中、Uターンしようとして、対向車線を直進してきたバイクと衝突しました。
伊藤さんはバイクの運転者などにけがを負わせたまま現場から逃走したとして、ひき逃げの容疑で逮捕されました。
伊藤さんは、衝突後、現場から百数十メートル離れた場所まで逃走しましたが、追跡してきた別の車の運転者に説得され、現場に立ち戻っています。
事故後、すぐ被害者を助けなかったこと、警察に連絡しなかったことは、道路交通法の救護義務違反、報告義務違反となり、いわゆる「ひき逃げ」とみなされます。
どのような場合に「ひき逃げ」とみなされるか、法定刑はどうなっているのか、これらについて、私は電話取材を受け、番組内で声のコメントを致しました。
両手で子供を抱っこした男性が、電動一輪車に乗り、公道を走っている映像がありました。
視聴者から寄せられたこの映像をもとに、「Live News it!」では、電動一輪車が公道を走ることの法的問題をとりあげました。
電動一輪車は、公道を走れません。
ハンドルやブレーキ、ナンバープレートもないことから、遊具として、公園や私道などで使うことが想定されています。道路運送車両法では、電動一輪車は、軽自動車として扱われますが、初めから公道での走行は想定されていないため、これに乗って公道を走らせますと、道路交通法違反に問われます。
実際、京都と横浜では、電動一輪車に乗っていたネパール人の女と、51歳の男が検挙され、書類送検されています。
この番組から電話取材を受けた私は、上記のことを解説しました。
東名高速あおり運転事故の加害者石橋和歩被告に対し、横浜地裁は2019年12月14日、懲役18年の実刑判決を下しました。
これを機に、私はこの番組にスタジオ生出演し、あおり運転に対する刑罰法規の不備や将来への指針を、MCや他の出演者をまじえて語りました。
東名高速あおり運転事故の加害者石橋和歩被告に対し、横浜地裁は2019年12月14日、懲役18年の実刑判決を下しました。
この判決では、専門家の間でも意見が分かれていた危険運転致死傷罪の適用を認めました。
私は早くから、同罪の適用が可能であるとの立場で、この事故をコメントしてきました。
今回はスタジオ生出演し、一審判決のはらむ論理の飛躍、量刑への不満など、今後の控訴審での審理をふまえて、問題点をお話ししました。
客が、タクシーのドアにぶつけられたとドライバーにクレームをつけ、3万円を払わせるという悪質な行為が頻発しているようです。しかも、個人タクシーばかりが狙われているといいます。
フジテレビの2019年12月12日放映の「直撃LIVEグッディ!」では、この問題をとりあげました。
怪我をしたかどうか判然としないケースで、ドライバーより3万円をむしりとるというのは、恐喝罪スレスレの悪質な行為であることは、いうまでもありません。
個人タクシー営業は、営業主体が法人ではなく個人です。個人事業者のためすべて自分の責任になります。個人タクシーは法人タクシーのように事故の担当部署がなく、給与保証もありません。
そのため、ドライバーが交通違反をしますと、違反点数を課されます。点数が累計していくと、免許停止や免許取消につながるため、生活に影響します。その弱みにつけこんだのではないかと、推測されます。
ただ、仮にドア開閉にあたってドライバー側に大きな過失があり、その行為自体が乱暴で悪質だと警察で判断された場合にはどうなるか。
その場合には、
安全不確認ドア開放等(道路交通法71条4の3)違反となり
反則金 ¥6,000
交通違反点数 1点
を課せられる可能性があります。
このことを、上記番組中、パネルで私は解説しました。
交通量の多い道路で、故意に足を車道に向けて突き出した男の行為は、どういう罪に問われるでしょうか。
道路交通法の禁止行為として公安委員会が定めた中にこの行為が該当すれば、道交法違反を問えますが、微妙なところです。
「むしろ、走行してくる車のドライバーや、同乗者への暴行罪として立件される可能性があります。」
番組中で、私は以上のようにコメントしました。
交通量の多い道路で、歩道から故意に足を車道に向けて突き出した男の行為は、どういう罪に問われるでしょうか。
「道路交通法の禁止行為として公安委員会が定めた中に、この行為が該当すれば、道路交通法違反を問えますが、微妙なところです。
むしろ、走行してくる車のドライバーや同乗者への暴行罪として立件される可能性があるでしょう。」
番組で、私はこのようにコメントを致しました。
自動車が不用意にドアを開けたところ、後方から来たバイクなどがそこに衝突するという事故があります。
番組では、その場合の過失割合をとりあげました。
民事上の実務では、過失割合は
ドアを開放した車 90%
衝突したバイク 10%
が基本とされています。
これには修正要素があり、バイクの直前でドアを開けた場合は
100%(車)対 0%(バイク)
反対に、車とバイクの間に十分な距離があり、バイク側から見て、停止車両などがドアを開けることが予想できるような場合(例えば、コンビニの前などで車が停止した場合など)
には、
停止車両 80% 対 バイク 20%
に修正される可能性があります。
こうした考え方について、私はコメントしました。
あおり運転の急増をうけて、360度撮影型のドライブレコーダーが売り上げを伸ばしています。
360度撮影するドライブレコーダーですと、ご自分の車が、どちらの方向からあおられても証拠を保全できるというメリットがある一方、ご自分の運転行為も録画されます。
その結果、自分としては故意にあおるつもりはなかったとしても、車線変更が不適切であったり、車間距離が不十分であって、相手車から見てあおられたと誤解するような運転をてしまった場合、相手のあおり運転を誘発したと取られるリスクがあります。
この番組で私は、そのことを指摘し、ドライバーの皆様には節度をもって安全な運転を心がけていただきたいとコメントしました。
2009年9月30日に、熊谷市で男の子が死亡したひき逃げ事故が発生しました。
自動車運転過失致死罪は、公訴時効が10年であり、あと1か月で時効を迎えようとしています。
ご遺族であるお母様は、罪名を危険運転致死罪に切り替えるよう、警察に働きかけていると聞きました。
私はこの番組で、
「危険運転致死罪への罪名変更には厳しいハードルがあるが、加害車両が見つかり、危険運転致死罪を適用させるに足る物証が出てくれば、20年に時効は延長されるでしょう」
とコメントしました。
北海道の七飯町で、オレンジ色の軽乗用車が国道を逆走した映像が、話題を集めました。
この車は前から次々と走ってくる車両や大型バスを避けて逆走を続けました。映像には、トンネル手前で停車した様子までが映っています。
その後、運転手は車のナンバーなどから身元が判明し、逮捕されました。
けれど、罪状は「道路交通法違反」であり、「危険運転」ではありません。
その理由について、私がコメントしました。
大津市で起きた、保育園児死傷事故。
いたいけな保育園児2人を死亡させた車の運転手が、釈放されました。
「2人死亡」なのに、この運転手が釈放されたのはなぜでしょうか。
その理由について、法律的な観点からお話致しました。
ゴールデンウィークも間近となりました。
番組では、「ハンドルを握ると人格が変わってしまう人がいるのはなぜか」から始まり、どうやったら怒りのコントロールをできるのか、そのシステムは? と、今までにない観点から、あおり運転防止の対策を話し合いました。
ご一緒したゲストの安藤俊介さんは、「アンガー・マネジメント(怒りのコントロール)の専門家」です。
彼によると、アメリカでは、あおり運転で検挙された人を対象に「怒りをコントロールする方法」を教育し、以後の危険な運転を防止するシステムができあがっているそうです。
日本でも、愛知県警はいち早くこのシステムを立ち上げました。
私は、「日本では、法令によって罰するという面での抑止効果ばかりが考えられていますが、それだけでなく、『自分で自分の怒りを抑止するコントロール』方法を教育することができれば、たいへん有意義です。日本でも、どんどん広がってほしいものです」
とコメントするとともに、ドライブレコーダー設置の重要性、あおり運転にあった場合の対処方法についても、詳しくお話ししました。
見通しのよい直線道路で、車を走らせていたところ、左側のパーキングから白いクラウンが出てきて、被害車両の前方で急停止しました。
クラウンは、発進したかと思うとまた急停止しました。このように発進→停止、発進→停止を3分間で9回もくりかえした男がいます。
停止の中の1回は信号待ちでした。その時、男は自車の運転席からおりてきて、被害者の男性の胸ぐらをつかんだ、と言います。
胸ぐらをつかまれたときの映像こそないものの、その時の音声は録音され、白いクラウンが9回も停車を繰り返した状況は、ドライブレコーダーで録画されていました。
番組では、このような状況で、もし追突していたら、過失割合はどうなるか、という点にスポットをあてて、とりあげました。
これについてコメントを求められた私は、「現場が幹線道路であったことから、追突した側が6割、白いクラウン側が4割程度の過失割合になるでしょう」と解説しました。
つまり、白いクラウンの男は、後続車両に対し、悪意をもって自車を停止させている(これは、道路交通法違反になると同時に、暴行罪に該当する可能性があります。) のですが、追突事故が起きますと、過失割合は追突した側の方が重くなる、ということを心にとめていただく必要があります。
このような態様でのあおり運転に対して、事故を避けるためには、十分すぎるくらいの車間距離を保つか、もしくは、直線道路から横道に入ってしまうのが望ましいでしょう。
誰にでも起こりうる事故ですので、多くのドライバーの方に注意していただきたいと、番組では呼びかけています。
2018年12月14日、東名高速あおり運転事故の石橋和歩被告に対し、横浜地裁で懲役18年の判決が宣告されました。
日本テレビのBS日テレ「深層NEWS」では、この問題をとり上げました。
私は、スタジオ生出演し、判決の問題点、量刑の妥当性、将来に向けたあおり運転に対する対策などをコメントしました。
私が指摘したのは次の点です。
- 横浜地裁判決が危険運転致死傷罪を適用したのはよいとしても、その論理構成には無理があること。
- 量刑について、検察が懲役23年求刑していたのに対し、5年減らして、懲役18年にしたのは、死亡した被害者の数が影響したと推測されること。
- 高速道路上であおられた場合には、決して感情的にならず、相手車両を先に行かせるか、車内で110番通報すること、また高速道路から一般道に出てしまうのも、自分の身を守るために有効であること。
などを解説しました。
この日私は、テレビ朝日の「ワイド!スクランブル」にも生出演し、同じテーマで解説しました。
日本テレビのBS日テレ「深層NEWS」では、東名高速あおり運転事故の判決をより深く掘り下げています。
私のコメントもより詳細にお話ししました。興味のある方は、同日付「ワイド!スクランブル」の解説もあわせてお読み下さい。
東名高速あおり運転事故の石橋和歩被告に対する判決公判が2018年12月14日、横浜地裁で開かれ、懲役18年の判決が言い渡されました。
求刑は懲役23年でしたから、求刑よりも5年減刑されたことになります。
横浜地裁は、結果的に危険運転致死傷罪の適用を認めましたが、被告が自車を高速道路上で止めるまでの一連の運転を妨害運転致死傷罪の「運転」と認定し、それと追突による死亡との間には因果関係がある、との判断を示しました。
この番組に私は生出演し、判決の論理構成の問題点や、量刑を懲役18年にした裁判所の考え方などを解説しました。
本件では、停車後に起きた別の車による追突事故により、萩山さんご夫妻が亡くなられたケースでした。停車後の事故にも、危険運転致死傷罪が適用されるかが最大の争点でした。停車後は、妨害運転致死傷罪の構成要件である「運転」には該当しない、というのが弁護側の主張であり、それと同調するような法律家の意見も、公判前には多数見受けられました。
自動車の運転には発進、走行、停車という操作があり、これらはすべて一連の「運転」行為です。
本件の石橋被告が東名高速上で自車を停止したのも、彼の動きを見れば、「運転」行為の流れの一つであり、停止そのものが妨害運転致死傷罪の「運転」に該当すると判断するのが正しかったと思います。
この点で、横浜地裁の論理構成には、かなり無理があった印象が否めません。
それでも、ともかく危険運転致死傷罪の適用を認めたのは、世論の動向にも配慮したからでしょう。
量刑について、求刑を5年下回る18年にしたのは、被害者の数が影響したのだろうと推測します。
過去に、危険運転致死傷罪が適用された事例で、被害者の数が4名の場合は懲役23年、3名の場合には20年でした。本件は、たいへん痛ましい事故ですが、被害者の数が萩山さんご夫妻2名であったという点で、求刑を5年下回る判決にしたのであろうと思います。
結局これは、過去の量刑相場との公平をはかったからでありましょうが、多くの国民と同様に、私は不満を感じます。
量刑相場は、個々の事案ごとに検討されるべきであって、これまでの量刑相場に影響されるのは望ましくありません。
過去は過去であり、本件は本件だからです。
概ね以上のことを、私はスタジオでコメントしました。
あおり運転をされたときの対策について、番組の冒頭で紹介しました。
私はこの番組にVTR出演し、あおり運転をされた場合には、
- 高速などで執拗にあおられた場合には、自分が一般道に出てしまい、サービスエリアなどの駐車場に車を止めて、監視カメラがある場所で110番通報するのがよいでしょう。
- 相手が車から出てきても、自分は出ないようにして下さい。出ると暴力を振るわれるリスクが高まるので、降りないほうがよいです。自分の身の安全は、自分で守るようにしてもらいたいと思います。
とコメントしました。
2018年12月5日、東名高速あおり運転事故の石橋和歩被告に対する公判で被告人質問が行われました。
フジテレビ「直撃LIVEグッディ!」では、スタジオに模擬法廷を作り、本人の供述の再現を試みました。
私は、スタジオで、彼が法廷で供述した内容について、その不自然さ、矛盾点などについてコメントし、その発言が判決にどう影響するか、解説しました。
2018年12月3日、横浜地裁で東名高速あおり運転事故の石橋和歩被告に対する初公判が開かれました。
フジテレビ「直撃LIVEグッディ!」では、この公判に注目し、私はゲストコメンテーターとして出演しました。
争点は、本件に危険運転致死傷罪が適用されるかどうかにあります。
弁護側は全面的に争う姿勢を示し、危険運転致死傷罪はもとより、検察側が予備的訴因としてたてた監禁致死傷罪についても、無罪を主張しました。
本件が停止後に起きた別の車(トラック)による追突事故で萩山夫妻が亡くなられたため、停車後の事故にも危険運転致死傷罪が成立するかどうかについて、法律家の間でも意見が分かれています。
私は、昨年2017年10月15日のフジテレビ「Mr.サンデー」に出演した際にも、石橋被告の行為には、危険運転致死傷罪が適用されると主張してきました。それというのは、道路交通法で「運転」とは
「自動車を本来の用い方にしたがって用いること」
と定義づけられているからです。
「本来の用い方」とは、車の発進、走行、停止を意味しています。高速道路上で被告が車を停止した行為自体が違法であり、この事故の前後にわたる被告の行為を全体的に眺めれば、発進、走行、高速道路上での一時停止、再発進、という一連の流れの中で、妨害運転致死傷罪の要件である「運転」に当たることを解説してきました。
番組内で私は、この点を強調するとともに、有罪への見通しについても説明しました。
札幌市内で、あおり運転をした男が、暴行罪で逮捕されました。
人体に対して、直接暴力をふるったわけでもないのに、あおり運転がなぜ暴行罪になるのか。そういう疑問をお持ちの方もたくさんいらっしゃるでしょう。
人にけがをさせる行為は、刑法の傷害罪に該当します。けがをさせる一歩手前の傷害未遂は、暴行罪にあたると考えられています。
あおり運転は、車を走行中、相手車両に幅寄せしたり、直前に割り込んだりする危険な行為であり、一歩間違えば、相手の車の運転者や同乗者に傷害を負わせかねません。あおり運転は、暴行罪から傷害罪に至る行為類型としてとらえられるため、相手にけがをさせなかったとしても、暴行罪として立件したのです。このような法解釈を、この番組で解説しました。
北海道警があおり運転をした男を単なる道路交通法違反ではなく、刑法の暴行罪で逮捕したということは、あおり運転への取り締まりを強化し、厳罰化しようとする姿勢のあらわれです。暴行罪であれば、2年以下の懲役、または30万円以下の罰金などになるからです。
視聴者の中には、「暴行罪で逮捕」と聞いて、あおるつもりはなくても、うっかり幅寄せなどをしてしまった場合、自分も暴行罪で逮捕されてしまうのか、という怖れを抱いた方もいるでしょう。
そういう心配はありません。今回の札幌のケースは、逮捕された男が、故意にあおり運転を繰りかえし行ったケースです。明らかに意識的にあおっている、とみられるような運転をしない限り、暴行罪には該当しません。
2017年6月、東名高速道路で、男があおり運転をしたあげく、自車を追い越し車線に停止し、後続のワゴン車に乗っていた夫婦を死亡させるという事故が起きたことは、まだ記憶に新しいところです。
この事故の容疑者・石橋和歩について、検察は危険運転致死傷罪で起訴しましたが、予備的訴因として、監禁致死傷罪を付け加えたと報道されています。
おそらく公判前の公判前整理手続きにおいて、弁護側が危険運転致死傷罪の成立を争い、無罪を主張する構えを示したため、無罪になることを危惧して、検察は、予備的訴因というものを第2選択肢としてつけ加えたのだと推測されます。
報道によれば、被告弁護側は、監禁致死傷罪についても無罪を主張する構えのようです。
この番組では、被告弁護側の予想される主張をとりあげ、レギュラーコメンテーターの方々が怒りの発言をされました。
このコーナーに私はパネル出演をし、弁護側がなぜこのような主張を展開するのかを解説したほか、私見として、
「本件では石橋被告が一時運転席から離れたとしても、それはハンドルを握る動作をいったん中断しただけで、彼の前後の行動は、全体として見て、危険運転致死傷罪の要件である『運転』をしていた、ととらえるのが正当である」
とコメントしました。
番組内では言及されませんでしたが、石橋被告が危険運転致死傷罪で有罪となれば、量刑は懲役15年から20年が相当であり、この範囲内で、より重い刑が言い渡されるべきだと考えております。
警察庁は、12月15日に、危険運転防止のために新たな対策をうちだしました。
「危険性帯有者」に該当すれば、最大180日の免許停止とするよう、全国の警察に指示したのです。
「危険性帯有者」とは、「将来、事故を起こす可能性が高い者」という意味です。
免許停止の規定は去年1年で、674件に適用されました。
しかし、このうち、あおり運転をした者に適用されたのは、わずかに6件でした。
「この道路交通法の規定を積極的に活用することによって、今後の危険運転による事故というのは、防げるのではないかと思います」
という私のコメントが放映されました。
石橋被告は、東名事故の1か月前にも、3件も道路上でのトラブルを起こしています。
そのうちの一つの「車のドアをけって傷つけた器物損壊の事案だけでも、『危険性帯有者』に該当する可能性がある」と、山口県警の捜査関係者は話しています。
この事件では、山口県警が石橋被告を器物損壊容疑で書類送検したのは今年10月になってからでした。
もし、もっと迅速な対応ができていたなら、東名夫婦死亡事故は起きなかったかもしれません。
今回の対策により、全国の警察が、危険運転をする者を積極的に免許停止にすることを、私は願っています。
今年5月、大阪府門真市の通学路で、暴走する車の車内から撮られた映像が、ネット上に公開されました。
クラクションを鳴らしながら、猛スピードで走る車。
狭い道で逃げ惑う中学生たち、立ちすくむ小学生の姿が映っています。「どけっ、コラッ、お前ら!」という声も確認できました。
警察は、この車の運転者の男(19歳)と、車内で映像を撮影していた同乗者の男(20歳)を、逮捕しました。
罪状は「殺人未遂」です。きわめて危険な運転をしたことからこのような重い逮捕容疑になったものです。
公安委員会は、運転者の男を、180日間の免許停止処分としました。
道路交通法では、将来事故を起こす可能性が高い人の免許を停止することができる、と定めています。
昨年度、免許停止処分は674件あったものの、そのほとんどが薬物常用者に対するもので、あおり運転などの危険運転によるものは、わずか6件にすぎませんでした。
なぜでしょうか。
あおり運転などは、その場に警察官がいて、たまたま現認したとか、ドライブレコーダーなどの確固とした記録がない限り、立証が非常に困難だからです。
「一般の人から映像を警察に送るなどして、処罰を求めていただきたい。
人身事故に発展してからでは、遅いのです。
警察には、その前の段階で、映像を元に取り締まりをしてほしい」
という私のコメントが放映されました。
私は毎日、理不尽な事故で人生を狂わされた方々の悲しみに直面しています。
予防できる悲劇は、できるだけ予防するのが警察の使命だと強く思います。
東名夫婦死亡事故で逮捕された石橋和歩被告は、この事故の前後にも、たびたび危険運転によるトラブルを起こしていました。
亡くなった夫婦の母親は、息子夫婦の墓前で
「車を凶器と思いたくはないけど、ああいう人にとっては凶器」
「危険な運転を繰り返す人には、免許を与えないでほしい」、
と訴えました。
それを受けて、私も
「人身事故に発展してからでは遅いんですよ。
その前の段階で、積極的に映像などを元に、警察が取り締まりをしてほしいです」
とコメントしました。
理不尽な事故で、突然、愛する家族を喪った遺族の悲しみは、はかりしれません。
警察には、もっと積極的に危険運転の取り締まりを強化していただきたいと、切に願います。
あおり運転による東名高速夫婦死亡事故の捜査の決め手は、石橋被告の車につけられていたカーナビを、警察が詳細に解析したとこが決め手だったということが判明しました。
これはカーナビのGPS機能によるもので、専門家によれば、1秒ごとの車の位置情報が記録されるということです。
「人間の目撃者による証明だけでなく、映像という『見える化』されたもの(物証)があれば、『あおり運転』を加害者が否認したとしても、動かしがたい証拠になります」
という私のコメントが放映されました。
最新技術の進歩は、交通捜査のありかたを、これから大きく変えていく可能性があるでしょう。
東名高速のあおり運転による夫婦死亡事故で、捜査の決め手は、カーナビ記録の解析であったことがわかりました。
警察は、逮捕された石橋和歩被告の車についていたカーナビの記録を詳細に解析しました。
GPS機能を解析することにより、被告が夫婦のワゴン車を追い越して、4回にわたって車線変更し、ついには夫婦の車が追い越し車線に停車せざるを得ないような状況にしたことが判明したということです。
これについて、
「GPS機能の付いた機器があれば、お互いの車の車間距離なども、科学的に証明できると思います。」
という私のコメントが放送されました。
科学的に明らかな証拠(物証)は、今後の裁判にも、大きな位置を占めることになるでしょう。
少年グループが、夜の市街地を自転車で暴走する映像が、ネット上で問題視されています。
それによると、中学生くらいの6人グループが、「イケイケ!」「ブンブン!」などと叫びながら、交通量の多い夜の道路を、ある者は対向車線にはみだし、ある者は車の間をすり抜ける危険な運転をしています。
彼らは、どんな罪になるのでしょうか。
「自転車は軽車両なので、道路交通法が適用されます。
★ 車のすり抜けなどは『安全運転義務違反』
★ 対向車線にはみ出しての走行は『通行区分の違反』
となり、共に
★ 3か月以上の懲役または5万円以下の罰金
に処せられる可能性があります」
という私のコメントが放映されました。
2015年に、「暴走族の練習」として、150mにわたって自転車で蛇行運転をした中学3年生の3人が書類送検された事件も紹介されました。
東名高速道路であおり運転をした末に、追い越し車線で停車して、後続の被害者夫妻を死亡させた石橋容疑者について、横浜地検は逮捕容疑の過失運転致死傷罪ではなく、より罪の重い「危険運転致死傷罪」( 本件では、妨害運転致死傷罪 )で2017年10月31日に起訴しました。
これについて、私は上記番組にパネル出演し、下記の通りコメントしました。
「( 横浜地検は、石橋容疑者の走行から停車までを「運転行為」とみなし、)前にわりこみ、道路をふさいで停止させる一連の行為が、危険運転致死傷罪(妨害運転)に該当すると判断したのでしょう」
道路交通法第2条17号によれば、「運転」とは、車などを「本来の用い方に従って用いること」と定義されています。
すなわち、エンジンをかけて発進させ、ハンドルをにぎって走行した後、ブレーキ操作をして、停止させるまでが車の「運転」なのです。道路交通法の上記定義からすれば、妨害運転における「運転」も同義に解釈されるべきで、逮捕容疑も最初から危険運転致死傷罪でよかったと、私は思います。
横浜地検は、柔軟に法律解釈をして、適正な起訴をしたといえるでしょう。
危険運転に関するトラブルが多発している現状を受け、「どんな人が、どんな時にかっとしやすいのか」を分析し、ドライバーのタイプ別の対処法について電話で解説しました。
車をめぐる様々なトラブルに関して、フジテレビが放送した内容を集約したボードをもとに、ドライブレコーダーの車への設置が対策として有効である旨コメントしました。
また、あおり運転に起因する事故が2件起きました。
あおり運転(車間距離不保持)での摘発件数は、去年一年間で、7625件もあります。
しかし、これは氷山の一角に過ぎません。
「あおり運転」をされても、実際に事故が起きるかは、映像などの物証がないと
警察が摘発するのは困難です」
という私のコメントが、パネルで説明されました。
皆さん、いざというときのために、ぜひともドライブレコーダーをつけましょう!
東名高速での夫婦死亡事件以来、あおり運転などの危険な交通トラブルへの関心が高まっています。
この番組では、ドライブレコーダーで撮影された、実際のあおり運転・幅寄せ等の危険運転が多数放映されました。そのどれもが、大事故につながりかねない危険な運転です。
「あおる行為や進路妨害等は、道路交通法違反にあたります。
危険運転行為をされたときは、路肩や駐車スペースに車を停め、すぐに警察へ通報することが有効です」
という、私のコメントが放映されました。
相次ぐ交通トラブル。
悪質な運転を繰り返していた石橋和歩容疑者が逮捕されて以来、あおり運転などに遭った時にどうすればよいのか? が注目されています。
今回、私は交通事故の弁護士として、その対処法をお答えしました。
皆さんは、ドライブレコーダーをつけていますか?
これからつける方は、ぜひ「前後左右」の映像を撮影できるタイプをお勧めします。
また、裁判の証拠にするためには、鮮明な画像であることも大切なことです。
激昂した相手に襲われそうになった時のために、ペッパースプレー(防犯スプレーの一種)を常備しておくのもよいでしょう。
東名高速の事件で、容疑者が逮捕されて以来、あおり運転、追跡、幅寄せ等の交通トラブルが注目されています。
危ない目に遭った時、あなたはどうしますか?
私のお勧めする対処法が、パネルで説明されました。
- 車間距離をとる。
- 路肩に車を停め、相手を先に行かせる。
-
※逃げられる場合
防犯カメラのあるコンビニやスーパーで停車し、カメラに映る位置で110番通報をする。※逃げられない場合
絶対にカギを開けず、車内で110番通報する。
いざというときの備えとして、「ドライブレコーダ-の設置」も強くお勧めします。ドライブレコーダーは、鮮明な画像のものをお選びください。
また、「ドライブレコーダー録画中」というシールを車体の前後左右に貼ることもよいでしょう。
また、2件の交通トラブルが発生しました。
あおり運転などで、激昂した相手とトラブルになりそうなとき、どうしたらよいのでしょうか?
- 車間距離をとる。
- 相手が車から出できたら、急発進して逃げる。
- 高速道路から下り、コンビニやスーパーなど、防犯カメラに映る場所で110番する。
以上の3点を、私のお勧めする対処法として、パネルで説明致しました。
2017年6月、東名高速道路上で起きた死傷事故に関し、10月10日、石橋和歩容疑者が過失運転致死傷罪と暴行罪で警察に逮捕されました。
この事件は、石橋容疑者の車が高速道路の追い越し車線で強引に停車したところ、すぐうしろを走行していた被害者萩山さんの車も、やむなく停止させれられたというものです。
石橋容疑者は、自分の車から外に出て、萩山さんの車に向かい、萩山さんの胸ぐらをつかむなど、暴行をした嫌疑がかけられています。
そこへやってきた後続のトラックに、萩山さん夫妻がはねられ、死亡しました。
この件で、警察は、石橋容疑者を過失運転致死傷罪で逮捕しましたが、これほどひどいことをしていながら、過失運転致死傷罪はないだろう、という疑問の声が多数寄せられました。
私は2017年10月15日(日)、フジテレビの「Mr.サンデー」に生出演し、彼の刑事責任として、危険運転致死傷罪(自動車運転死傷行為処罰法第2条)の中の妨害運転致死傷罪(同条4号)に該当する旨、解説しました。
妨害運転致死傷罪は、妨害「運転」をすることが要件になっています。彼は自車から外に出ていますので、もう「運転」にはあたらないのではないかと考える法律家がいます。
ここでいう「運転」とは、道路交通法第2条17号の「運転」と同義と解釈するべきであり、道交法での「運転」の定義は、自動車を「本来の用い方に従って用いること」とされています。
つまり、エンジンをかけ、走行し、ブレーキ操作をして止まること、すなわち「発進」から「停止」までが、ここでいう「運転」なのです。彼が外に出る、出ないは関係ありません。
従って、石橋容疑者は、自車を停止させるという「運転」行為をしたのですから、妨害運転致死傷罪(1年以上20年以下の懲役)にあたる、と考えるのが、健全な社会常識に照らし、相当です。
彼が、外に出たのは、ハンドル操作を一時中断しただけであって、すぐまた自車に戻って運転しようとしていたことは前後の状況から明白なわけですから、「発進」→「停車」→「発進」という運転行為は、継続していたとみるのが正しい、といえます。
このような法律論に加え、妨害運転をされた場合の対処法についても、いくつか提案しました。
詳しくは「Mr.サンデー」のサイトをご覧下さい。
今年6月の夜9時半過ぎ、神奈川県大井町の東名高速道路で、家族4人の乗ったワゴン車が追い越し車線に停車中、大型トラックに追突され、夫婦が死亡した事故が起きました。
追突されたワゴン車は、直前のパーキングエリアでのトラブルから、猛スピードで追いかけてきた容疑者の乗用車に進路をふさがれ、やむなく追い越し車線に停止させられていたものです。乗用車は、停車前には極端に接近して走ったり、進路をふさいだりという妨害行為をくり返していました。
この乗用車を運転していた石橋和歩容疑者(25)が、2017年10月10日、過失運転致死傷などの疑いで逮捕されました。
石橋容疑者は、「あおってきたのは(自分ではなく)ワゴン車」と話していましたが、県警は、事故後、ワゴン車に乗っていた娘2人や、容疑者の車に同乗していた女性、さらには現場付近を走っていた車に、聞き取りを重ねたということです。
この事件について、私は
「この容疑で逮捕するというのは異例です。高速道路の追い越し車線に強引な割り込みをして進路をふさぎ、無理やりワゴン車を停止させたというきわめて悪質な行為を、警察は重く見たのだと思います。検察は、今後、より重い『危険運転致死傷罪』の中の『妨害運転致死傷罪』に容疑を切り替えて、さらに捜査を進めていく、ということも十分考えられます」
というコメントを出しました。
外国人観光客に人気の公道カートの危険性が、現在、問題視されています。交通事故も多発しています。
法律上は、公道カートにはヘルメットや、シートベルトの装着義務がありません。
公道カートは、道路交通法上は「自動車」にあたり、道路運送車両法上は「原動機付自転車」にあたります。
このように、二つの法律によって、公道カートがあてはまる車両が違うのです。この点が、そもそもヘルメットやシートベルトの着用を義務化していない要因といえるでしょう。
先ごろ、警視庁は公道カートを貸し出す業者に対し、ヘルメットやシートベルトの着用を指導する通達文書を送りました。
ひとたび事故を起こしますと、運転者に甚大な被害を及ぼす危険性があります。
この番組では、公道カートの危険性を検証し、法的な観点から、私もVTRで次のようにコメントしました。
「道路交通の安全性や公道カートの運転者に与える被害をできる限り低く抑えるという視点から、カートの運転者には、ヘルメットとシートベルトの着用を義務付けるべきでしょう。法整備が急がれます。」
保険代理店による保険料の立替払いは、現在の保険業法では、明文の規定はないものの、禁止条項の一つにあたる、と解釈するのが通説です。
このような解釈は昔からなかったわけではありませんが、現在の保険業法制定前は、法規上あいまいなところがあり、各保険会社ごとに社内規則で禁止していました。
今から20年以上前、私がまだ損保側代理人をつとめていたころ、あるセールスレディが立替た保険料が保険金の支払い条件を満たしていたかどうかをめぐって、訴訟になったケースがあります。
そのセールスレディは、会社の禁止規則に違反して、保険契約者の名前で、バイクの自動車保険の保険料を立替て支払っていました。この立替金がセールスレディの口座にいつまでも支払われず、その状態で死亡事故が起きました。
自動車保険約款によりますと、保険期間が開始した後でも、保険料領収前の事故には保険会社は保険金を支払わない旨、うたわれています。
そこで、セールスレディが契約者の名前で立替て支払った保険料について、会社側で保険料を「領収していた」と見るべきか、それとも「領収してはいなかった」と見るべきかが、裁判で争われました。
前者であれば2000万円の保険金が出るはずですし、後者であれば1円の保険金も出ません。
このケースに関し、東京地裁は双方の証人尋問の末に、和解を勧告しました。
和解内容は、保険会社側が被害者遺族に対し、70万円を支払う、というものでした。もし判決になったならば、保険会社側が全面勝訴していたでしょう。しかし、愛する息子を失った両親の気持ちを忖度して、「保険金」としてはゼロだが、「解決金」として70万円を支払うことに落ち着いたのでした。
フジテレビ「奇跡体験! アンビリバボー」は、私のエッセイに基づくこの話題をとり上げ、再現ドラマとして放映してくれました。このドラマの中で、私自身もインタビュー形式により、随所でコメントしました。
>放映詳細はこちら(「奇跡体験!アンビリバボー」HP)
京葉線の市川塩浜駅で、朝のラッシュ時に男性が電車の下にもぐりこみました。これにより、電車は運休が11本、遅延が40本となり、2万5000人に影響が出ました。
こうした場合、JR東日本には、どのような損害が発生し、賠償請求の対象になるかについて、番組ディレクターを通し、私が説明しました。
2015年11月17日深夜に、のぼり旗を立てるコンクリート製のブロックが車道に置かれ、衝突した乗用車の男女がけがをする事件が起きました。
この事件で20日、大阪府交野署は、殺人未遂容疑で同市内のアルバイトの少年(17歳)を逮捕しました。少年は土台を倒したことは認めているものの、「殺すつもりはなかった」と殺意を否認しています。
少年は、19日夜に弁護士と母親に連れられて、自首してきました。
この事件について、私は
「ブロックを置くと人が死ぬ可能性があると予見できていたはずです。少年はそのことを十分認識していたのですから、殺意があったとみることができます。だから、殺人未遂容疑で捜査が開始されていると思います。」
とコメントしました。
2015年11月17日深夜、大阪府交野市で、車道の真ん中に置かれたコンクリートの土台に車が衝突し、運転していた男子大学生と、助手席の女子短大生の2人が負傷しました。
放置されていたのは商店の「のぼり旗」を立てる土台です。長さ110㎝、直径30㎝、重さ約50 kgもある大きなものでした。
先月には、大阪府住之江区で死亡事故も起きています。
「道路の往来が激しいところにブロックを置いたりしますと、車が衝突して運転者などが死亡するというリスクまで、十分、予見できます。
つまり犯人は、人の死について認識していたのですから、殺意があったとみることができ、殺人罪を適用するのが相当です。今回は、幸いにもケガですみましたから殺人未遂罪ですが、死んだらあなたは殺人犯になってしまうんですよ、ということを啓蒙する必要があります」
という私のコメントが放送されました。
2015年10月23日深夜0時ころ、大阪市住之江区で、車道の真ん中に円筒型コンクリートブロック(高さ14㎝、直径30㎝、重さ16㎏)を何者かが置き、衝突したバイクの男性が30mも跳ね飛ばされる事故が起きました。男性はその後、死亡しました。
路上に妨害物を置いた場合、往来妨害罪になりますが、本件は、人の死を予見して故意に置いたとみられることから、警察は、殺人容疑で捜査しています。
このケースにつき、なぜ殺人罪が適用されるかを、私はパネルで説明しました。
ブロックを置いた人物は、ここを通行するバイクなどの運転者が、ブロックに衝突して死亡する危険性があることを十分認識していたと思われます。
そうであれば、殺意があったと考えられますので、殺人罪を適用するのは当然だと思います。
仮に死傷事故が起きなかったとしても、このような危険な行為には、殺人未遂罪を適用するのが相当だといえるでしょう。
2015年10月28日、宮崎市の駅に通じる道路の歩道を、73歳の男性が運転する軽自動車が700メートル以上にわたって暴走し、2人が死亡、本人を含む5人が傷害を負うという事故が発生しました。
事故の原因がはっきりしない中、どのような罪が考えられるか、私はスタジオでコメントしました。
自動車運転死傷行為処罰法という法律によりますと、政令で定められた特定の病気(統合失調症、てんかん、低血糖症、その他)にかかっている人が、自動車運転に支障があることを認識し、実際にその病気の影響で事故を起こした場合、危険運転致死傷罪に問われます。死亡事故では15年以下の懲役、傷害事故では12年以下の懲役です。
この加害者の場合、事故当時、意識があったのかどうか、あったとして、特定の病気での治療実績があったのかどうか、そのあたりの事情を今後究明する必要がある旨、コメントしました。
なお、このテレビ番組放映後、加害者の男性は認知症で治療を受けていたことが報道されています。
もし認知症であったことが事実としますと、危険運転致死傷罪では処罰できず、過失運転致死傷罪(懲役7年以下)の適用が考えられます。
8月23日(日)、神奈川県葉山町で、歩行者の列に乗用車が突っ込み、1人が死亡、1人が重体、1人が重傷という事故が起きました。
運転していた20歳の男性はひき逃げをし、帰宅したあと、事故から1時間後に警察に出頭しました。
状況からして飲酒運転が強く疑われるところ、男は、出頭前に自宅でビールを飲んだと供述しているようです。
テレビ朝日は25日の「グッド! モーニング」で、この事故をとり上げました。
その中で私はパネル出演し、事故当時、本人が飲酒していたのかいなかったのかをどのように捜査機関で検証するかを、専門家の立場から解説しました。
具体的には、
1. 容疑者が自宅で飲んだという酒の種類、銘柄、量などを徹底的に確認し、その量が、逮捕後に検知されたアルコール濃度と整合性をもつかどうかを科学捜査の手法で解析する。
2. 同乗者から事故前の飲酒の有無、あるとすればどこで何をどの程度の量飲んだかを、複数の者から徹底的に聞き出す。
居酒屋などで飲んだのであれば、そのグループが注文した飲食物のデータなどを細かく分析して、本人の飲酒量を推定する。
これらのことを説明致しました。
8月23日(日)、神奈川県葉山町で、歩行者の列に乗用車が突っ込み、1人が死亡、1人が重体、1人が重傷という事故が起きました。
運転していた20歳の男性はひき逃げをし、帰宅したあと、事故から1時間後に警察に出頭しました。
状況からして飲酒運転が強く疑われるところ、男は、出頭前に自宅でビールを飲んだと供述しているようです。
日本テレビは25日の「スッキリ!」で、この事故をとりあげました。
その中で私は、運転者本人がどのような罪に問われるかを解説しました。
1. 事故前に飲酒していない場合
過失運転致死傷罪 + ひき逃げの罪
2. 事故前に飲酒していた場合
危険運転致死傷罪 + ひき逃げの罪 + アルコール等影響発覚免脱罪
ただ、番組内では説明されませんでしたが、危険運転致死傷罪が適用されれば、発覚免脱罪は吸収される可能性が大きいと言えます。
この事故は死傷者が複数出ていて、被害の結果が大きい一方、加害者が自首をしていることから減刑の対象にもなります。
量刑については、
1.の場合 5年~7年
2.の場合 7年~10年
程度が考えられます。
この判決に対し、コメント致しました。
北海道砂川市で起きた、一家5人死傷事故について、その罪と裁判の行方を解説致しました。
北海道砂川市で起きた、ひき逃げ死亡事故(少年を約1.4キロ引きずって死亡させた、きわめて悪質な運転行為の事故)の加害者の罪状について、加茂隆康がコメント致しました。
車を運転中、突発的な病気で事故を起こす人が急増しています。特に中高年に多いケースです。
突発的な病気とは、脳梗塞を含む脳疾患や心臓疾患、認知症、不整脈など、政令で定められた一定の病気です。
運転中に、脳梗塞を発症したりしますと、そのまま意識を失い、車が暴走して大惨事につながりかねません。
番組の中で私は、特定の病気を抱えた方が、それを知りながら事故を起こしますと、刑事上も民事上も重大な責任を負うこと、雇用主や家族も、本人が病気持ちであることを知りながら、車を運転させた場合には、道路交通法違反の罪に問われることを強調しました。
重い疾患を持っている方は、車の運転は避けるべきですし、雇用主や家族も、そのような方には車を運転させないように、配慮することが必要だと思います。
本年1月14日午後7時ころ、東大阪市の遊歩道で、道幅いっぱいに張られた針金に、自転車走行中の男性がひっかかり、口元にけがをしました。
大阪府河内署では、この事件を殺人未遂容疑で捜査しています。
この針金は直径1ミリほどの太さで、140㎝くらいの高さに張られていました。
これは、そこを通行する自転車の運転者のちょうど首付近にあたることが推定されます。
もし、実際に走行中の自転車の方の首が針金に引っかかれば、首が切断されたり、転倒した拍子に頭を打ったりして死亡する可能性が十分にありました。
しかも針金はゴムや紐と違って、弾力性がありません。
人を殺傷する凶器となりますので、その意味で、私は殺人事件の適用が相当だと考えています。
番組内では、このような私の見解が、パネルで放映されました。
6月2日朝、京都府福知山市で、軽ワゴン車で自転車の高校生をはね、700mも引きずった男が逮捕されました。
高校生は一命はとりとめたものの、右足骨折などの重傷を負いました。
加害者の男性(60)は、朝から焼酎を飲み、仕事に行く途中だったということです。
近くにいた警察官が制止しようとしましたが、加害者はこれを振り切って逃走。蛇行運転をして振りほどこうとしました。パトカーが追いかけて、やっと車を停止させ、高校生を助け出しました。
高校生は引きずられながら、車をたたいて自分の存在を必死に知らせようとしましたが、それにも応じなかったということです。
「自分の車の下に自転車の高校生を巻き込んでいたのを知りながら、引きずったという認識があるなら、加害者には殺意があったと推定され、『殺人未遂』として立件できるでしょう」
という私のコメントが放映されました。
1月29日朝、埼玉県川越市で起きた踏切事故。
無人の車が遮断機の下りた踏切に突っ込み、電車と衝突したものです。運転していた女性は、「近くの郵便ポストに投函するため車を降りたところ、動き出してしまった」と話しています。
この事故による賠償問題について、私がコメントしたパネルが放映されました。
★ (女性の運転ミスなら)鉄道会社が加害者(女性)に損害を請求できる
★ (女性の運転ミスなら)女性に支払う責任がある
★ 賠償額は鉄道会社の考え方・算出方法にもよるが、数千万円から1億円単位になる
★ 賠償額の内訳は電車の修理代、運賃払い戻し費用、振替輸送費など
この事故で、朝のラッシュ時に東武東上線は4時間半にわたり上下線とも一部運休を余儀なくされました。
事故は、ちょっとした油断で起こります。
車に搭乗中は、サイドブレーキのかけ方が甘ければ、「クリープ現象」で止めたつもりの車が自動発進することを、くれぐれもお忘れなく。
1月29日の朝、川越市の踏切で、無人の軽乗用車が踏切内に入り込み、電車に衝突して大破しました。
軽乗用車を運転していた女性は、踏切の手前で停車中、道路わきの郵便ポストへ行くため、車を離れたということです。
女性は「ギアをニュートラルにしたつもり、サイドブレーキを踏んだつもりだった」と話しているそうです。
ほんのわずかな時間に起こったこの事故。
賠償問題はどうなるのでしょうか。
これについて、私は
「しっかりブレーキをかけなかったのならば、やはり女性にはそれなりの過失があると思います。
今回の事故による鉄道会社の損害は、すべてこの女性の側に請求ができます。
賠償額は、少なくとも数千万円~1億円を超える金額が、どうしても頭に浮かんでしまいま
すね。」
「過去にも、大型貨物車両が踏切の中に入り込み、電車と衝突したというケースがありました。
この時、裁判所は1億1千万円の支払いを大型車両側に命じました。」
というコメントを致しました。
賠償額は、鉄道車両の修理費、復旧に要した人件費、振替輸送や運休で生じた減収分などなどを合わせると、数千万円から1億円単位になる可能性があります。
この事故で幸いけが人はなかったものの、東武東上線は朝のラッシュ時に、上下線とも約4時間半もの運休を余儀なくされました。(志木~小川町駅間)
運転中は、細心の注意を払いましょう。
自転車事故による死亡事故に、高額の判決がまた出ました。
1月28日、東京地裁は、自転車にはねられ死亡した女性(75歳)の遺族に対し、加害者に4700万円余の支払いを命じました。平成22年に起きたこの事故は、赤信号を無視して交差点に入ってきた自転車が、横断歩道を渡っていた女性をはねたものです。女性は道路に頭を強く打って、死亡しました。
このニュースの中で、私は
「ここ数年、自転車事故の判決では高額な賠償を命じるケースが相次いでいます」
とコメントしました。
自転車は軽い気持ちで乗りまわされていますが、車同様、「走る凶器」であることに変わりはありません。
乗る方も、歩行者も、万一のために十分な保険に入っておくことを強くおすすめ致します。
2013年12月1日から、改正道路交通法が施行されました。
これにより、自転車の路側帯の走行方法が変わりました。
路側帯とは、歩道のない道路にある、左右両端の白線内の部分です。
この路側帯を自転車が走行する際、11月末までは、車と同方向でも逆方向でも走行ができました。
しかし12月1日からは、進行方向に対し、車道の左側の路側帯のみを車と同じ方向に向かって走らなければいけないことになりました。
これは事故の多発をくいとめるためです。
これに違反しますと、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が課せられます。
スーパーJチャンネルでは、路側帯での自転車の正しい走行方法を紹介し、私がこれについて短く解説しました。
大分県で、またしても重大自転車事故が起きました。
16歳の男子高校生が、77歳の女性に正面衝突したのです。女性は意識不明の重体となっています。
今年7月には、神戸地方裁判所で自転車事故を起こした加害者の少年の母親に、9500万円の賠償を命じる判決が出ています。
その判決を教訓に、番組では、今回の自転車事故をもう一度考えました。
神戸地裁の9500万円を命じた判決は、高いのか高くないのか。
「まったく高くありません。妥当な金額です。自転車は十分人を死傷させる凶器になるのですから、被害の程度が大きければ大きいほど、賠償金が膨らむのは当然のことです」
「将来、1億円を超える賠償金を命じる判決が出るのも時間の問題だと思います。このような悲惨な事故がくりかえし起こるようですと、加害者側の資力を確保するという意味で、自転車にも強制的に保険をつけさせることを検討しなければならないかもしれません」
番組内で、私は以上のようなコメントを致しました。
「ピスト(ブレーキなしの自転車)」に乗っていた男が、2回の違反切符を切られ、再三の出頭要請にも応じず、警視庁に逮捕されました。この男の自転車の後輪には、ブレーキがついていませんでした。
事故を起こしたわけでもないのに逮捕者が出たということで、驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。
自転車にブレーキをつけないで走るというのは、道路交通法で「制動装置不良」という罪になり、5万円以下の罰金に処せられます。
過去の判例として、6000円の罰金が略式命令で出されたケースがあります。
今回、警察が逮捕に踏み切ったのはブレーキなしの自転車の危険性が増大し、取り締まりを強化せざるをえない状態に陥ったからでしょう。
実際、制動装置不良の検挙件数は2009年にはたった2件だったものが、2012年には1424件と激増しています。
今回の逮捕はピストの危険性を世に知らしめるための警鐘といえましょう。
2013年10月2日、またしても京都市で飲酒・ひき逃げ事故が起き、8歳の男児が死亡しました。
飲酒・ひき逃げの厳罰化には、これまで一定の抑止効果があったと思います。
しかし、いくら厳罰化しても、遵法精神に乏しい人は沢山います。
これ以上、飲酒ひき逃げを増やさないようにするにはどのようにしたらいいのか。
私は、ドライバーに対し、飲酒・ひき逃げの怖さをもっと教育する必要があると思います。教育の場所は、高校、大学、企業、業界団体、自治体などです。
また、春秋の交通安全週間だけでなく、警察の監視を常に強化することも必要でしょう。
10月4日放映の「モーニングバード!」では、パネルを通して、このような私見を提案しました。
2013年3月15日、第一京浜で、大型トレーラーが故意に急ブレーキをかけたところ、トレーラー部分(荷台部分)が対向車線に旋回し、対向車線を走行してきた車の運転手の男性が即死するという事故が起きました。
トレーラーの運転手は、この事故の直前、自車を追い越していった車に腹を立て、高速でこの車を追い抜き、その車に「嫌がらせをするつもり」で急ブレーキをかけたと言っています。
危険極まりない悪質な運転です。
この事故について、2013年10月2日、東京地裁は危険運転致死罪を適用し、懲役12年の実刑判決を言い渡しました。
2013年10月3日(木)のテレビ朝日「モーニングバード!」では、この問題をとり上げました。
この加害者の場合、妨害型の危険運転致死罪が適用されるのは当然です。ただ、懲役12年というのは、少し軽すぎる感じがします。
というのは、トレーラーの運転手としては、高速で他車の前に割り込み、急ブレーキをかければ荷台部分がスウィング(回旋)することはわかっていたはずです。そうなれば、対向車が激突し死亡事故を招くことも十分予測できたからです。
つまり、「未必の故意」による殺人罪を適用してもおかしくないケースでした。
このような私の見解を、同番組内のVTRでコメントしました。
9月24日朝、京都府八幡市の路上で、18歳の少年の運転する車が登校中の児童の列に突っ込み、1人が意識不明の重体、4人が軽傷となる事故が起きました。
車は猛スピードで角を曲がり切れず、ガードレールに接触し反対側にハンドルを切り、防護柵をなぎ倒し児童の列にぶつかり、宙を7mも飛んで民家に衝突してやっと止まりました。
警察は、危険運転致死傷罪の適用も視野に入れて捜査しているとのことです。
加害者の少年の罪はどうなるのでしょうか。
「危険運転致死傷罪の適用も十分に考えられます。危険運転致死傷罪の要件に、『コントロール不可能なくらいの猛スピード』というのがあります。今回、加害車両がガードレールに接触した後、道路反対側の防護柵をなぎ倒し、7mも宙を飛んだ、ということは、制御不可能なスピードが出ていた証拠だといえます。
少年を処罰するためには、この事件を地裁から家裁に送致し、家裁から『刑事処分相当』として、地裁に逆送する必要があります。
そのうえで地検が公判請求(起訴)するという手順になります。
仮に被害者の子供さんが亡くなった場合には、危険運転致死傷罪が適用されれば、少年の刑は5年~7年の不定期刑、自動車運転過失致死傷罪であれば、禁錮2年~4年、執行猶予を付ける場合は禁錮2年、執行猶予4年といったところでしょう。もし、家庭裁判所で地検に逆送しない場合には、『保護観察処分』で終わる可能性もあります」
このような私のコメントが、放映されました。
兵庫県西宮市で、またしても、無免許の少年が運転するワゴン車が、死亡ひき逃げ事故を起こしました。
近くの交差点で一時停止を無視し、これをとがめたパトカーを振り切って逃走中に、ミニバイクと衝突した事故です。被害者の男性は死亡しました。
この6月に、悪質運転を厳罰化する道路交通法が改正されたばかりです。
その矢先の事故で、「法律化による厳罰化だけでは、悪質運転は撲滅できないことを、図らずもこの事故は露呈させた」と思います。
この番組で、私は以上のことをコメントしました。
新潟市内の道路標識のポールの上端から、竹の葉が繁茂し、「止まれ」の標識を今にも隠しそうになっています。住民の方々は、これを「ど根性竹」と言ってもてはやしているそうです。このまま標識が隠れてしまうと、一時停止しなかった場合、道交法違反に問えるのかとの疑問が出て、取材を受けました。
標識が何かで隠されている状態では、標識の意味をなしません。標識を管理する新潟県公安委員会には別の標識を立てるか、または「ど根性竹」を切るなどの対応が必要になります。
このようなコメントを電話で番組中に致しました。
なお、道路標識のほかに、道路面上に「止まれ」の道路標示がある場合には、そちらは有効ですので違反を問うことができます。
新潟県警の話によれば、住民感情に配慮して、「ど根性竹」はそのままにし、その標識部分を撤去する代わり、別の道路標識を新たに立てる予定だ、とのことでした。
春の交通安全運動が始まっています。
TBSの「ひるおび!」では、自転車事故をとり上げました。
昨今、自転車事故の件数が急増しています。
携帯を使いながらの片手運転、赤信号無視、無灯火運転といったケースが目につきます。
東京地検では、このような実情を重く受け止め、交通違反を2回以上した自転車の運転者は、略式起訴する方針を先般、表明しました。
略式起訴をされますと、罰金刑が科せられ、「前科」がつきます。
番組ではこの点について、私がコメントしました。
悪質ドライバーには「講習」を義務付ける道路交通法の改正案も、閣議決定されたと聞いています。
この法案が今国会で成立すれば、自転車に対し、法的によりきびしい規制が加えられるでしょう。
加茂隆康がテレビ朝日「モーニングバード!」にパネル出演しました。
昨日出た京都亀山事故の判決について、
「裁判所は少年犯罪に、甘い傾向がある。
国が悪質運転の厳罰化を検討する昨今、
求刑通り懲役5年~10年の判決にすべきだったのではないか」
という見解を述べました。
加茂隆康が、2月19日(火)テレビ朝日「モーニングバード!」にスタジオ生出演しました。
テーマは「亀岡の自動車事故の判決を前に、法改正を考える」です。
京都・亀岡で起きた自動車事故の刑事事件について、2月19日午後に判決が宣告されます。
法制審議会の刑事法部会では、1月16日に刑法改正要綱案を発表しました。
これによれば、危険運転致死傷罪(最高刑・懲役20年)と自動車運転過失致死傷罪(最高刑・懲役7年)との間に、最高刑・懲役15年の罪を作ることになります。
この狙いと、将来の新法適用の方向性について、解説致しました。
なお番組の中で私は、亀岡の事件の判決を「懲役5年~7、8年の不定期刑」と予測しました。
この日の午後に言い渡された判決は、予想通り「懲役5年~8年の不定期刑」でした。
東京地検は2013年1月21日、信号無視を繰り返すような悪質な自転車運転者に、道交法違反の罪で罰金刑(略式起訴)を求める方針を打ち出しました。
その背景には、交通事故は全体で減少の傾向にあるものの、自転車事故は逆に増えており、信号無視など悪質な自転車走行があとをたたないという現実があります。
重大事故も多く起きています。
これまで、自転車は交通違反があっても不起訴処分にされてきました。これを見直し、罰金という刑事罰を加えることにしたわけです。
この方針は、当然のことだと思います。
テレビ朝日2013年1月24日の「ワイド! スクランブル」ではこの問題をとり上げました。
番組の中で私は、
「悪質自転車をなくすためには当然の措置です。今までは『まあいいや』というふうに安易に考えていた人が、これからは罰金刑になってしまう、前科もついてしまうということになれば、自分で自分を抑制するという一定の抑止効果がはたらくと思います。私は一定の効果が期待できると思います」とコメントしました。
フリーアナウンサーの千野志麻(チノシオ)さんが、2013年1月2日午後5時頃、沼津市内のビジネスホテルの駐車場で、車を発進させた直後、歩行者の男性をはね、死亡させるという事故を起こしました。
1月4日のテレビ朝日「モーニングバード!」の中で、私は電話取材に応じ、駐車場内での事故の多さと危険性についてコメントしました。
4月29日に起きた関越道バス事故で、バス運行会社の社長が逮捕されました。
これは、社長が加害運転者の所有するバス4台に名義を貸した道路運送法違反の疑いによるものです。また、加害運転者も、中国人バスツアーを無許可営業したとして再逮捕されました。
バス運行会社の社長は会見で「補償は(保険会社に)今できる最大限のことをしてほしいとお願いしています」と、補償問題は保険会社に一任するとの姿勢を示しました。
「何でもかんでも『保険会社に任せるからあとは適当にやってください』、というのでは、ご遺族はとても納得できないと思います」
昨今、損保は支払いを渋りがちですので、保険会社へ一任して、誠意ある補償など期待できないのが実情です。
これほど重大な被害を招いたのですから、加害者や加害会社は、保険会社任せにせず、人間としての誠意を見せるべきでしょう。
「ただ補償についての考え方は、通常の交差点とか、路上で起きた死亡事故と、全く同一ということになります。」
このような私のコメントが放映されました。
バスツアーの安さは、その陰に多くの問題をはらんでいます。業界全体の改善が望まれます。
4月23日に、京都府亀岡市で集団登校の列に軽乗用車が突っ込み、児童ら10人が死傷した事故で、京都地検は「危険運転致死傷罪」を適用しないとの見解を発表しました。
危険運転致死傷罪は故意犯であり、それを適用させるには、現行法では次のいずれかの要件を充たす必要があります。
- 飲酒又は薬物の影響で正常な運転ができないおそれのある状態で運転していたこと。
- 制御不能な高速運転をしていたこと、又は運転技能を有しないで運転していたこと。
- 人又は車への通行妨害の目的で、人や車に著しく接近したり、故意に赤信号を無視するなどして、重大な交通の危険を生じさせる速度で運転していたこと。
亀岡の事故の加害者少年は無免許運転でした。
無免許ですと、「運転技能を有しないで運転」に該当しそうです。
しかし地検の説明では、少年は無免許運転をくり返していたので、運転技能に問題はなかったから、危険運転致死傷罪の適用を見送るというものでした 。
これについて、遺族の方々が反発するのは当然です。
この見解を裏返すと、「初めて無免許運転をする者が、技能のないまま死傷事故を起こせば危険運転致死傷罪になり、逆に無免許をくり返したら同罪の適用はされずに刑が軽くなる」、という本末転倒になってしまうからです。
こんな矛盾をなくすためには、法改正をしなくてはなりません。
改正の方向としては、つぎの3つの施策があります。
- 現行の「危険運転致死傷罪」(最高で20年以下の懲役)の適用要件を緩和して、もっと広範囲に適用できるようにする。
- 現行の「自動車運転過失致死罪」(最高で7年以下の懲役)の刑期を大幅に引き上げる。
- 現行の「危険運転致死罪」と「自動車運転過失致死罪」とは別に、事故の結果の重大さに応じて、重い刑罰を課せるような規定(「加重的自動車運転過失致死罪」といったようなもの)を新設する。そして、その最高刑を1.と同様に、死亡事故で懲役20年以下とするなど。
厳罰化だけでは、本質的な解決にはならないかもしれませんが、法律は民意を反映させるべきです。
私はこの番組で、交通事故のエキスパートとして、以上のような意見を述べました。
重大事故が続いている現状をふまえますと、1日も早く法改正を進めていただきたいと切に願います。
4月12日に起きた京都・祇園の7人死亡事故。衝突された被害車タクシーの「ドライブレコーダー」の映像が公開されました。
これによると、加害車両が猛スピードで狭い道を走行しながらも、脇の歩行者をよけてカーブする様子が映っています。
「加害運転手(死亡)はてんかん発作で意識を失くしていたのではないか」という当初の推測を覆す映像でした。
今回の「ひるおびハテナ」では、事故直前・直後の映像を残す「ドライブレコーダー」に焦点を当てました。ここ数年、ドライブレコーダーは技術改良が進み、廉価で高品質のものが市販されています。
現在では搭載車の前方だけでなく、車の後方の映像をも記録することができるものが主流です。また、自転車・バイクにつけられるもの、スマートフォンのアプリとしてダウンロードできるものまで出ています。
「解像度が高く鮮明で、かつ事故直前直後の撮影時間が長い秒数のものを選ぶとよいでしょう。証拠としての価値が高まります」
という私のコメントが放映されました。
いざという時、事故状況のゆるぎない事実を残してくれるドライブレコーダーは、あなたの権利を守ってくれます。
事故当時の映像があれば、保険会社との争いの多くは未然に防げると考えられます。
あなたのお車に、ドライブレコーダーを搭載することを強くお勧めします。
自転車事故が急増しており、マスコミでこの問題が取り上げられる頻度が多くなっています。
「自転車専用レーン」を設ける自治体も出ていますが、危険性が解消されてはいません。
テレビ朝日の「ワイドスクランブル」では、その実態とともに自転車事故の賠償問題に焦点をあてました。
自転車の場合、子供でも是非の判断ができる11,12歳以上であれば、賠償責任があるとされます。
また、自転車には乗用車のように強制保険(自賠責保険)がないうえに、自転車に適用される任意保険に加入している人は少ないのが現状です。
このため、自転車事故では、加害自転車側が無保険で経済的な支払い能力がない場合、被害者は泣き寝入りせざるをえなくなってしまいます。
この番組の中で、私は上記の問題点を指摘しました。
自転車愛好家の皆さんは、自分のためにも、人のためにも、万一に備えてぜひとも保険に入っておくことをお勧めします。
暴走自転車による事故が急増しています。
平成23年11月28日、大阪地方裁判所で、死亡事故を誘発した自転車の運転手に禁錮2年の実刑判決が宣告されました。
この事故は、不用意に道路を横断しようとした自転車を避けようとして、ワゴン車がタンクローリーの前に割り込み、急ハンドルを切ったタンクローリーが歩道上の2人を死亡させたというケースです。
歩行者に衝突したのはタンクローリーでしたが、タンクローリーとワゴン車の運転手は不起訴となり、事故を誘発させた自転車の運転手にのみ実刑判決が科せられました。
この問題を巡って、TBSテレビの「ひるおびハテナ」にVTR出演し、私(弁護士・加茂隆康)が次のようにコメントしました。
「今後、このような事故を誘発させた自転車への刑事責任の追及が、加速されるのではないかと予想されます。 」
プロゴルファーの石川遼選手が、アメリカで取得した国際運転免許証だけで良いと思い、日本でも車を運転したことが報じられました。
海外で国際運転免許証を取得した場合、その国に継続して3ヶ月以上滞在していればよいのですが、国内外のツアーに参戦していた関係で、その要件を満たさなかったのです。
日本の道路交通法にてらしますと、形式上は「無免許運転」ということになってしまいます。
しかし、ご本人はこの事情を知らなかったとのことで、人気プロゴルファーであるがゆえに報じられたのでしょう。
たいへんお気の毒なケースであったと思います。
ニュースコーナーでこの問題が取り上げられ、私(弁護士・加茂隆康)が短くコメントしました。
2010年夏、海外で日本人旅行客が被害に遭う交通事故が相次いで発生しました。
7月には、スイスで、ツェルマットとサン・モリッツを結ぶ「氷河特急」が脱線横転し、日本人1名が死亡し、28名が重軽傷を負いました。
またアメリカでは、グランドキャニオンを周遊するバスが高速道路をはずれて横転し、日本人3名が死亡し、 12人が重軽傷を負いました。
こうした場合の補償はどうなるのでしょうか。
日本テレビ「スッキリ!!」では、この問題を取り上げました。
まず日本の旅行社が企画したパッケージツアー等の場合、「普通旅行業約款」により、
死亡 1人あたり 2500万円
が支給されます。
もちろん、それだけでは補償金としては不十分です。
しかし、旅行会社に対しては、企画した旅程に無理があったり、現地の交通機関の手配に過失があったなどの場合でない限り、それ以上の賠償金を請求するのはなかなか困難です。
となりますと、被害者は直接、事故を起こした鉄道会社やバス会社、その運転者などに損害賠償を求めることになります。
この場合は、日本の法律ではなく、現地の法律が適用されます。アメリカは州によって法律が異なるため、事故が起きたユタ州の人身傷害(不法行為)に関する法律がどのような仕組みになっているか、調査しなければなりません。
この調査はたいへんです。
その州出身の外国法事務弁護士が東京などにいれば、その方を窓口にして調べることもできますが、いなければ、国際法律事務所に頼んでアメリカのユタ州の法律に詳しい法律事務所を調べてもらわなければなりません。そのうえで、現地の弁護士に依頼するという手はずになります。それに必要な法律文書も、ひとつひとつ翻訳してもらわなければなりません。困難を極めます。スイスの場合も同様です。
上記のことを、簡略に私(弁護士・加茂隆康)がコメントしました。
少しでも早く補償金を得るためには、海外旅行に出かける際には「海外旅行傷害保険」に加入されることをお勧めします。
最近、自転車事故が急増しています。
ピストと呼ばれるブレーキのない自転車で、死亡事故も起きました。
自転車事故が増えている原因は何なのか。
その対策は何か。
J-WAVE 「JAM THE WORLD」“ 15 MINUTES ” のコーナーではこの問題をとりあげ、私(弁護士・加茂隆康)がコメンテーターとして出演しました。
「よくある違反は無灯火やケータイを使用しての運転です。これらは道路交通法違反として、罰則が適用されます。違反が減少しない最大の要因は、自転車の乗り方についてのルールを、みなさんが知らないからだと考えられます。学校や市区町村が主体となって、正しい自転車の乗り方を教育する場を設ける必要があると思います」
私(弁護士・加茂隆康)は番組内でこのような提案をしました。
埼玉県で、飲酒ひき逃げの死亡事故が起きました。
酒に酔って、正常な運転が困難な状態で自動車事故を起こすと、危険運転致死罪に問われます。死亡事故の最高刑は懲役20年です。
加害者の男は、その後逮捕されました。情況証拠からしますと、加害者は事故直前に現場近くの温泉施設に行き、ビールを飲んだあと車を運転したとみられます。
捜査機関が加害者に実際に酒を飲ませ、事故当時のアルコール濃度と酒酔いの状態を立証しようと試みましたが、本人が実験を拒否しました。現在の法律では、起訴前の人間に対し、本人の同意なく強制的に本人の身体にアルコールを注入することができないことになっています。
このため、検察はやむなく本人を自動車運転過失致死罪とひき逃げの罪で起訴しました。この両罪を併合しても、最高懲役15年にしかなりません。
「こうした量刑事情をドライバーたちが知っているため、酒を飲んで事故を起こしたら、逃げた方が得だという 意識が働きます。これが『逃げ得』といわれる問題です。」(加茂のコメント)
『逃げ得』がまかり通るというのは、明らかに法の不備です。
「危険運転致死罪の立証が捜査側にとって非常に難しいことが、この罪での立件をはばむ大きな要因になっています。」(加茂のコメント)
私見では、「飲酒ひき逃げ罪」といった新たな罪を創設して、事故当時、加害者が飲酒していた事実とひき逃げをした事実さえ検察側で立証できれば、この罪に問えるようにしたらどうかと思います。
もちろん法定刑は危険運転致死罪よりさらに重くし、被害者死亡なら、たとえば懲役30年くらいにするべきです。
海外には、飲酒運転で死亡事故を起こした者に終身刑を科している国もあることを忘れてはなりません。
エコ対策が叫ばれている今、自転車に乗る人が増え、同時に自転車事故も急増しています。
急増の原因は、多くの人が自転車は「車両」だということを認識せず、自転車の正しい乗り方(=道路交通法で規定されている乗り方)を知らないからです。たとえば携帯電話をかけながら自転車に乗っていたり、夜、無灯火で走る人があとを断ちません。
こうした自転車が歩行者に衝突して、死亡事故まで起きています。
番組では、違反の実態や高額な賠償金を命じられたいくつかの判例を紹介するとともに、少額事件での示談斡旋もシミュレーションされました。
事故を減らすには、
「自転車は『車両』であり、道路交通法上のルールに従って走らなければならないことを認識すること」
「学校や市区町村が主体となって、自転車の正しい乗り方を教育する必要があること」
を私(弁護士・加茂隆康)が解説しました。
暴走自転車による人身事故が急増しています。
NHK「おはよう日本」では、この問題をニュースとして取り上げました。
加害者で目立つのは高校生・中学生などの若年層であり、一方、被害者になりやすいのは、高齢者や女性などの社会的弱者です。
歩道を走ることができ、免許もいらない自転車は、「車」ではないと思っている人も多く、事故を起こした場合の備えもしていないという方が目立ちます。
ひとたび人身事故を起こせば、自動車対歩行者の場合と同様の多額の賠償金を払わなくてはなりません。
裁判所の判例では、6700万円を超える判決も出ています。
「自転車は道交法上のれっきとした『車』です。自転車事故に遭えば、被害者は死亡したり、重い後遺障害をひきずるという重大な被害をこうむる一方、加害者もずっと賠償金を払い続けなければならないという点で、人生に大きな制約が課せられます」(私(弁護士・加茂隆康)のコメント)
自転車に乗る方は、自転車がすぐ凶器に変わる乗り物であるとの認識をもって、自転車総合保険や個人賠償責任保険などの保険に加入していただきたいものです。
最近、自転車への人気が高まっています。
その背景には、エコ対策や健康志向もあるでしょう。
しかし一方では、暴走自転車による重大事故も発生しています。昨年の自転車事故は全交通事故の2割以上を占め、717人もの人が死亡しました。
日本テレビ「おもいっきりDON !」では、この問題をとりあげました。
2人乗りは2万円以下の罰金又は科料、ケータイを使っての運転などは、3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金になります。
女子高生の自転車(ケータイを使用中で無灯火)が看護師の女性(歩行者)に衝突したケースでは、被害者が重傷を負い職も失ったことから、平成17年、女子高生に対し5000万円の支払いを命ずる判決が横浜地裁からだされています。
番組の中で私(弁護士・加茂隆康)は、死亡事故では億単位の賠償もありうることや、傘を固定しての運転でも2万円以下の罰金になることなどを解説しました。
自転車の運転は、くれぐれも慎重になさって下さい。
リーガル・サスペンス「死刑基準」の刊行を契機に、2009年2月7日(土)、文化放送の番組「 高木美保 close to you 」の「今週のクローズアップ・パーソン」に出演しました。
パーソナリティの高木美保さんは、拙著「死刑基準」の感想を次のように話されました。
「読み始めたらあっという間でした! ご飯も食べずに1時間半くらいで。サアーっと読めてしまうんです。人物描写が変に作られたものでなくて、やはり現場をご存知の方が描いた、という感じがして、それぞれの人間の体温、息づかいが感じられ本当にこれが処女作? と思いましたよ」(笑)
「死刑基準」は、裁判員制度において、裁判員になった一般市民の方々が凶悪犯を前に必ず直面する死刑の問題をテーマにしています。
高木さんはおっしゃいました。
「死刑に対するいろいろな情報があって、とても知識が広がりました。たとえば、いったん死刑を廃止したものの、また復活させた国があるとか、犯罪被害者のための給付金は、犯罪者に国がかける費用のわずか2%にしかすぎない、とか……。また、自分が裁判員になったような気分で読めるように書いてあったので、それもよかったです 」
対談では、現在の日本に死刑基準はあるのか、死刑存置はすべきかどうか、日本の国民感情は? 小説で東京とウィーンという二都市を舞台にした狙いは? 登場人物への作者の投影は? 今後の作家としての抱負は? といったことについても話が及びました。
美女との対談は本当に「あっという間」の30分でした。
2009年5月、裁判員制度が実施されます。裁判員裁判では、一般市民の方が凶悪犯と法廷で対峙し、死刑か無期かという選択を否応なく迫られます。
ところが、どのような条件がそろえば死刑にするかという明確な基準がありません。1983年に最高裁が出した永山判決では、犯行態様の執拗性、残虐性、被害者の数、社会的影響度など、考慮すべき事情をいろいろ掲げてはいますが、要するに極刑もやむを得ないという場合には死刑を科してもよいと言っているに過ぎず、結局、ケース・バイ・ケースで判断するしかないのです。
こうした状況をふまえて、CS放送「朝日ニュースター」の「ニュースの深層」という番組で、「日本の死刑基準」につき、女性キャスターの金慶珠(キム・キョンジュ)さん(東海大学准教授)と私(弁護士・加茂隆康)が対談しました。
私のリーガルサスペンス「死刑基準」は、裁判での「死刑基準」がこうあるべきだということを提示しているのではなく、弁護側、検察側のそれぞれが考える「死刑基準」を読者に提示することによって、読者の皆さんにも考えるキッカケにしていただきたいという想いを込めたものです。
2008年8月3日に起きた首都高速5号線上でのタンクローリー事故。この事故ではタンクローリーが炎上し、道路自体が破壊されるという巨大事故になりました。近辺は5日間通行止となり、8月29日現在でも片側通行しかできない状態です。
通行止による経済損失は一日あたり約3.1億円、5日間で約16億円と見込まれています。
首都高速道路を運営する会社によれば、同社の一日あたりの営業損失は5000万円程度に及ぶそうです。このほかにも、路面や側壁の修復代がかかります。
全面開通までにいったいいくらの損害が出るのか。
「上下線両方の修復代として数十億円かかるとして、それに営業損失を加えれば、総額ではゆうに100億円に到達してしまうと考えられます」と私(弁護士・加茂隆康)はコメントしました。
さてこの巨額の損害、だれが支払うのでしょうか。
「タンクローリーに対物賠償額『無制限』の対物賠償保険がつけられていれば、保険会社が支払うことにはなりますが、請求額をそのまますんなりとは支払わないでしょう。客が減ったのは最近の原油高が原因、などと保険会社が反論することも考えられます。また、対物賠償額が『限度額あり』の保険の場合は、とうていタンクローリーの運送会社に巨額費用の支払能力があるとは思えず、首都高速道路会社側の泣き寝入りになってしまうでしょう」(私のコメント)
付近の道路は今も大渋滞で、一般市民が多大な迷惑を被っています。路線バス会社は渋滞による遅れを解消するため、事故以来、1日最大100台を増便しています。
火炎にあぶられ、外壁がはがれ落ちた事故現場隣のマンションは、大半の住人が引っ越してしまいました。
たった一台のタンクローリーが起こしたこの事故。しかしその損害はあまりにも大きいといわざるをえません。
青森県で、助手席の女性が運転者の男性にチョコレートを口移しで食べさせ、重過失致死罪で逮捕されました。運転者は横を向いて女性の口移しを受け、それに気をとられて歩行者に衝突、死亡させてしまったのです。
被害者は、足の不自由な妻に代わって買い物に出かけた69歳の男性でした。
「重過失致死罪というのは、単なる過失でなく、重大な過失により人を死傷させた場合に適用されるものです。5年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金という非常に重い罪になっています。でも本件のようなケースで罪に問われたのは、いままで聞いたことがありません」という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放映されました。
同乗者の責任を重く見た青森地検の姿勢に、私は共感しています。
ちょっとした気のゆるみが重大な事故をひき起こし、加害者、被害者双方の人生を狂わせます。車は走る凶器であることを、運転者も、同乗者の皆さんもどうか常に頭において下さい。
この事件はその後、運転していた男性に禁錮1年6月・執行猶予5年の判決が、女性には罰金50万円の略式命令が下りました。
自転車の教則が30年ぶりに改定されることになりました。
自転車と歩行者の事故は、1995年には563件だったのに対し、2006年には2767件と約5倍に増加しています。このような実情をふまえ、昨年、自転車の違反行為について道路交通法が改正され、今年(2008年)6月までに施行されることになっています。
そこで、施行前にまずは「国民に(自転車の)正しい乗り方を周知徹底する必要があると警察庁は考え」(私(弁護士・加茂隆康)のコメント)、自転車のルールである「教則」の改定にふみきったのです。
新しい教則では、携帯電話、イヤホンの禁止や傘さしホルダーを使っての傘さし運転の禁止、さらに大人が子供2人を乗せての3人乗りの禁止などが盛り込まれる予定です。番組では子供2人を乗せると走行がかなり不安定になることや、傘さしホルダーが強風時にどれだけ危険かを実証しました。
自転車は死亡事故をおこしかねない「軽車両」であり、危険な凶器となりうるものです。中高生など若年層の事故が多数起きていることから、新しい教則を守って、自転車に乗っていただきたいと思います。
福岡3児死亡事故で、検察側が福岡高裁に控訴しました。
一審判決は、わき見運転が原因であるとして、通常の業務上過失致死罪とひき逃げの罪により懲役7年6ヶ月を宣告しました。
この事実誤認が検察側の控訴理由です。検察側が求めていた危険運転致死罪は適用されなかったからです。
検察は公益の代表でもあるのですから、検察側の控訴は当然中の当然といえるでしょう。
一審判決前に、福岡地裁では訴因変更命令というのを検察側に出し、訴因を危険運転致死罪から業務上過失致死罪に変更するよう求めました。この時点で、今回の福岡地裁の判決は、予想されていたといえます。
法務省によれば、危険運転致死傷罪から業務上過失致死傷罪への訴因変更は全国で少なくとも11件あり、内3件はその後危険運転致死傷罪が適用されています。
本件についても、福岡高裁の審理では、危険運転致死罪の適用が焦点になります。
「(危険運転致死傷罪の構成要件である)正常な運転が困難な状態、とはどういう点を意味するのか。高裁ではこの言葉の解釈と事実の評価が最終的な争点になると思います。飲酒運転を厳しく断罪して重い罪を課することで飲酒運転を撲滅していこうとするのが危険運転致死傷罪を作った制度趣旨であり、立法趣旨だったわけです。そういう立法趣旨を裁判官がくみ上げる形で、法解釈をしなければなりません」(番組中の私(弁護士・加茂隆康)のコメント)
一審判決でも、被告人は事故当時、「酒に酔っていたのは明らか」としているのですから、それなら「正常な運転は困難」だったと結論づけるのが良識的な考え方です。
このような結論づけでなければ、裁判所は「酒に酔って」いても「正常な運転はできる」(=従って、酔って運転してもよい)と考えていることになりかねず、危険運転致死傷罪の立法趣旨を没却しかねません。それでは、国民の司法への信頼は、一気に崩れ去るでしょう。
福岡高裁が良識をもって、危険運転致死罪を適用し、司法への信頼回復に努めてもらいたいと私は考えています。
違法駐車の車に、高校生の自転車部員が練習中に激突し、死亡するという事故が発生しました。
事故は昼間発生しており、いたって見通しのよい道路で起きています。おそらく、自転車部員が前をよく見ていれば避けられた事故ではないかと思いますが、警察は、違法駐車していた男を自動車運転過失致死罪で立件しました。
違法駐車しただけでこのような罪になるのかという驚きで、ニュースになりました。
実は「(違法駐車車両が)事故を誘発しやすいことはしばしば指摘されていることであり、違法駐車による悲惨な事故を防ぐために、このような行為を取り締まろうとする警察(行政)の政策的配慮が働いたのではないか」(私(弁護士・加茂隆康)のコメント)と思われます。
自動車運転者には、警告となる事案です。
2006年8月、福岡市で起きた飲酒運転による幼児3人死亡事故について、2008年1月8日、福岡地方裁判所で判決が下りました。それによれば、検察側の求刑懲役25年に対し、7年6ヶ月でした。その理由は、検察側の主張である危険運転致死罪を適用せず、業務上過失致死罪と道路交通法違反の罪しか認定しなかったからです。
この判決には、根本的な矛盾があります。それは、事故当時、被告人が「酒酔い状態」であったことは明らかであるとしながら、「正常な運転が困難な状態」(危険運転致死傷罪の構成要件)だったとはいえないとしたことです。
端的に言えば、酒酔い運転であっても正常な運転ができると判断したことにほかなりません。常識的に考えて、酩酊状態の人が正常な運転ができるといえるでしょうか。飲酒運転においては、「酒気帯び状態」でさえ、運転時の反射神経が鈍り、ブレーキ操作が遅れるといった支障がでることはシミュレーションによって実証されています。
まして、「酒酔い状態」であれば、「正常な運転」など、とうていできるわけがありません。
この判決は、このような当たり前のことを無視して、酒酔い状態にあった被告人でも正常な運転が困難だったとまではいえないと判断したところに、最大の誤謬があります。もしこの判決の考え方を推し進めますと、「酒酔い状態」の交通事故でも、危険運転致死罪が適用されるケースは、きわめて限定的となってしまうでしょう。
これは、飲酒運転に厳しい目が注がれている現在の世論に逆行するものです。
1月8日のテレビ朝日「ワイド! スクランブル」では、この判決を批判的に取り上げました。
コメンテーターとして出演した私(弁護士・加茂隆康)は、上記の誤りを指摘するとともに、「裁判官が変われば判断も変わり、危険運転致死傷罪が認定される可能性がある」旨をコメントしました。
検察側が控訴し、福岡高等裁判所において、原判決を破棄したうえで危険運転致死罪の適用を認めるのが、この事件に対する司法の正しい姿だと私は思います。
昨年2月、愛知県で起きた飲酒運転4人死亡事故について、2007年12月25日、名古屋高等裁判所は一審の懲役6年を破棄し、懲役18年の刑を加害者に言い渡しました。一審の名古屋地裁では、業務上過失致死罪と道交法違反の罪しか認定しなかったのに対し、名古屋高裁は業務上過失致死の部分を覆し、危険運転致死罪を認めたことによります。
逆転判決です。この名古屋高裁の判決は、「被告人である加害者の男が2回も赤信号を無視したあげく、被害車両のタクシーに衝突しているという事実から推して、被告人が飲酒により正常な運転が困難な状態で自動車を運転した」と認定しています。
一審は赤信号を「青信号と勘違いした」などという加害者の弁解もありえないわけではない、とのとらえかたをし、危険運転致死傷罪の適用を回避しました。
これほど悪質な信号無視を繰り返し、その前提として運転時に飲酒していたということに照らしますと、「これで危険運転致死罪を適用しないのはおかしい」というのが名古屋高裁のスタンスであり、加害者の本件飲酒死亡事故について、きびしく断罪したものです。
この判決は福岡地方裁判所で公判中の幼児三人死亡事故についても、危険運転致死罪適用への期待を抱かせるものです。福岡地裁のケースでは、先日、危険運転致死罪から業務上過失致死罪への訴因変更命令が裁判所から出されました。
このことは、福岡地裁が加害者の男性に対し、危険運転致死罪を適用するのは困難だとの認識を示唆しています。
そのような状況において今回、名古屋高裁が一審判決を覆し、危険運転致死傷罪を適用して懲役18年を言い渡したのは、先例として高い評価に値します。
「仮に福岡地裁で業務上過失致死罪しか認定されなかったとしても、検察側が控訴した場合、福岡高裁では逆転で危険運転致死罪が適用される可能性もあるといえるでしょう。」(私(弁護士・加茂隆康)のコメント)
私としては、飲酒運転で死傷事故を起こした限り、飲酒量がどんなに少なく「酒気帯び運転」にしかならなかったとしても、危険運転致死傷罪を適用すべきだと考えています。なぜなら、少しでもお酒が入った場合には、運転時の反射神経が鈍る結果、危険運転致死傷罪の要件である「正常な運転が困難な状態」に陥るからです。
今まで、裁判所は危険運転致死傷罪の適用について、慎重になりすぎる傾向がありました。そのような姿勢を改め、積極的に危険運転致死傷罪を適用したという点でも、今回の名古屋高裁判決は大きな意義があります。
自転車事故が急増しています。あなたは、自転車の交通ルールを正しく理解していますか。
たとえば自転車通行可の歩道でも、自転車は「車道寄り」を走るのが正しく、また前を歩く歩行者に「リンリン」とベルを鳴らして道を空けるよう警告してはいけません。これは歩行者通行妨害になります。歩道では歩行者優先だからです。
その他、酒酔い運転、夜間無灯火、傘さし運転、携帯電話を使用しながらの運転なども道路交通法違反として懲役、罰金などになります。
自転車は法律上、「軽車両」に当たります。車と違って、自転車には自賠責保険がありません。ひとたび人身事故を起こせば、重大事故の場合、1000万円以上の請求をされることもあります。
それなのに保険に加入している人はわずかです。
自転車安全整備士のいる店で、点検整備をうけた自転車には、「TSマーク」を貼ってもらえます。このマークを貼られた自転車には、事故を起こした時の保険が自動付帯されています。
しかし、この保険は対人補償額が最高でも2000万円ですので、決して十分とはいえません。そこでさらに手厚い補償対策として、自転車総合保険、個人賠償責任保険、または各種保険の特約(傷害保険、自動車保険、火災保険)などにぜひ加入されることをお勧めします。
この番組では私(弁護士・加茂隆康)が講師役となり、以上のことを詳しくご説明いたしました。
車が盗難にあった場合、車両保険をつけていた契約者は、保険会社に保険金を請求します。その際、盗難が偶然に発生したものか、契約者の側が故意に盗難を偽装したものか争われてきました。保険会社は、こんなところで盗難が起きるわけがないとか、契約者は金に困っていたので、盗難を偽装して保険金詐欺を企てたのではないかといった決めつけをし、保険金を支払わないケースがほとんどでした。それというのも、盗難が偶然発生したことの立証責任は、契約者(被害者)の側にあるとされてきたからです。この立証責任の問題は、実は、損保の自動車保険の不払いを助長する悪しき要因になってきました。
特に、イモビライザーという盗難防止装置のついた車が盗難にあった場合には、損保が車両保険を支払うということは、ほとんどなかったといっても過言ではありません。しかし、窃盗のプロにかかれば、イモビライザーのついた車でも、容易に盗むことができるのです。
今回の最高裁判決は、立証責任を契約者から損保側に転換し、「契約者は、第三者に車を持ち去られたことを証明できればよい。保険会社が支払いを拒むなら、保険会社側が『盗難ではない』ことを証明すべきだ」との新判断を示しました。その証明ができなければ、損保は保険金を支払いなさいということを明示したものです。
「車両保険をつけている契約者にとっては朗報であり、消費者保護という点からも画期的な判決だと思います」という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放映されました。
ただこういう判決が出ても、損保の体質や言動からしますと、偽装の立証ができないのに、相変わらず口先だけで支払いを拒否する事態が予想されます。損保はこの際、最高裁判決を真摯に受け止め、立証が尽くせない場合には、速やかに保険金を支払う方針で臨んでいただきたいと思います。
昨年9月に起きた、川口園児死傷事故。加害車両が散歩中の40人の保育園児の列に後ろから突っ込み、4人死亡、17人が重軽傷を負うという大惨事となりました。
原因は加害者が「カセットテープを裏返ししようとしていて目を離した、わき見運転」でした。
事故の結果は重大なのに、加害者はなぜ危険運転致死傷罪に問われなかったのでしょうか。
「危険運転致死傷罪を適用するには、飲酒運転や著しいスピード違反などの、いくつかの要件にあてはまることが必要です。本件は『わき見運転』や不適切な加速などが主で、上記要件を充たす事実が存在しなかったため、検察側でも危険運転致死傷罪を適用したくてもできなかったのです」という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放映されました。
判決は業務上過失致死傷罪の上限である懲役5年でした。検察の求刑通りとはいえ、裁判長も「懲役5年をもってしても社会的非難・罪責を評価しきれない」という異例の発言をしました。
「おそらく裁判官としては危険運転致死傷罪に匹敵するくらい重い刑を科したかったのだろうと思います。ところが刑法の規定上、業務上過失致死傷害罪を適用する限り、最高でも5年と決められているため、これ以上重い刑にしたくてもできなかったという、苦渋の心境が読み取れます」(私のコメント)
このようなアンバランスを正すためには、法改正しかありません。
今月、「自動車運転過失致死傷罪」(最高懲役7年)の新設検討が閣議決定されましたが、これでも私は軽すぎると思います。このような罪を創設するなら、最高刑を懲役15年にして、その範囲内で、重大事故には刑を重くし、単純事故にはこれまで通りの刑というように、量刑を柔軟に決められるようにするのが望ましいと考えています。
飲酒運転(特に酒酔い運転)をして人身事故を起こしますと、危険運転致死傷罪(死亡は懲役20年以下、傷害は懲役15年以下)が適用されます。それを免れるため、ひき逃げが横行しています。これを防ぐには、どうすればよいでしょうか。
「ひき逃げの罪を現行の『懲役5年以下』より重くする、例えば懲役15年くらいに法定刑を引き上げる。また、『酒気帯び』にならないような少量飲酒の場合でも死亡事故が起きていますから、危険運転致死傷罪の要件である『正常な運転が困難な状態』であると言い切れると思います。飲酒=『正常な運転が困難な状態』であり、危険運転致死傷罪を適用するんだという意識の改革が、警察、検察に求められます」という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放送されました。
今年7月、東京地裁で画期的な判決が出ました。飲酒運転で死亡事故を起こした運転手だけでなく、「一緒に飲んでいた男性」らにも賠償責任があるとし、5800万円の損害賠償命令が出たのです。
「一緒に飲んでいた男性は車に同乗していなかったが、飲酒運転をやめさせる注意義務を怠った」というのがその理由です。
「(飲酒して運転するのは)不法行為であり、周りの人も共同不法行為者として民事上の損害賠償責任を問われるということを裁判所が明確に認めた証(あかし)です。単にドライバーが飲酒しないだけでなく、同僚、妻、酒を提供する店側などが、『酒を飲んだ人には絶対に運転させない』という意識を強く持ち、社会全体で飲酒運転撲滅を働きかける必要があります」(番組中の私のコメント)
飲酒運転をやめさせるために、各種の取り組みがすでに始まっています。ある飲食店では、「ストップ! 飲酒運転」というポスターを貼ってから、夜遅くには酒を注文する人が減ったといいます。またあるタクシー会社では、仕事に入る前に、運転手にアルコールチェッカーでのテストを義務付けるようにしています。
今国会では、飲酒運転に対する厳罰化の法案が審議される見通しです。その中では、酒を勧めた側(同僚や店)の罰則についても検討されるでしょう。一日も早い法改正が望まれるところです。
5年前に奈良県で6歳女児がひき逃げされ、死亡しました。青信号の横断歩道を自転車で渡ろうとして、トラックにはねられたのです。女児の自転車は650mも引きずられ、植え込みに投げ捨てられていました。しかしトラックはそのまま逃走。
両親は懸賞金までかけて情報を集めましたが、公訴時効が成立する日までに犯人を検挙できませんでした。
「本件については死亡事故を起こしてひき逃げまでしており、非常に犯情が悪質ですが、残念ながらその悪質さがそのまま時効期間に反映するわけではありません。このケースでは業務上過失致死罪というのが基本にあって、その法定刑が5年以下の懲役又は禁固となっています。それを基準に別の法律(刑事訴訟法)で時効期間5年と決められています」という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放映されました。
被害者や遺族の無念は、はかりしれません。悪質なひき逃げ犯には時効期間を延長する道をさぐる時期が来ているのではないでしょうか。
また、保険会社の不正が発覚しました。
損保大手5社は、全国に100万件以上もあるというツーバイフォー(2×4)住宅で、適正な火災保険料の約2倍もの金額を取りすぎていたのです。
2×4工法は、「省令準耐火構造」なので、従来の木造建築より災害に強いと認定されています。そのため99年7月から、従来の「木造建築」の保険料よりも30%~60%も割引く制度ができました。(割引率は各地で違います)
しかし保険会社はその割引制度ができたことを契約者に全く知らせず、ずっと高い保険料を取り続けていたのです。
「この制度は、自己申告制です」というのが保険会社の言い分です。しかし制度ができたこと自体を知らせないで、どうやって契約者に自己申告しろというのでしょうか。 これは完全に保険会社の「説明義務違反」だと私(弁護士・加茂隆康)は思います。
あなたの家が2×4工法であれば、保険証券を確かめて下さい。もし「木造」と書いてあって、「ツーバイフォー」という言葉がなかったら、取られすぎの可能性が大です。すぐ保険会社に連絡し、「省令準耐火構造」割引制度の手続きを取りましょう。自己申告しない限り、未来永劫、高い保険料を支払わされることになります。(保険会社からあなたに「ツーバイフォーの方はお申し出下さい」という連絡が来ることはありません。)
その際は、99年7月から申告日までの返還金に、年6%(商事法定利率)の利息をつけてもらうことを忘れずに! あなたは払いすぎていた保険料に、利息をつけて返してもらう権利があるからです。
このことを、私は番組の中のフリップで解説しました。
相次ぐ保険会社の不正を正すためには、一人でも多くのオーナーの自己申告が必要です。朝日新聞(平成18年12月10日付朝刊1面トップ)に掲載された記事は、「ツーバイフォー 保険料取り過ぎ」のキーワードで検索できます。
東京都世田谷区で、大型トラックがコンクリ片(直径20cm)をはね、バス停でバスを待っていた72歳の女性の頭を直撃しました。女性は頭の骨を折り、脳挫傷の重傷でした。
こんな場合の事故の責任はどうなるのでしょうか。
「運転手の方には当然、賠償責任があります。コンクリートの塊が道路に落ちていれば、それを避けるように安全運転をする義務があったわけですが、それに違反してうっかり踏みつけるか、または衝突させてはね飛ばしたからです。こういう形で歩行者に被害を与えた限り、やはり民法の不法行為責任を負わなければなりません。
また事故の責任は、『運転手を雇っていた会社』と『トラックを所有していた会社』(両者は同一のことがしばしばです)にもあります。さらにコンクリートの塊が道路に落ちていたのを道路管理者が放置していた状況ですと、道路が国の道路であれば国が、都や県の道路であれば都や県が賠償責任を負うことになります。」
という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放送されました。
2008年から、75歳以上の高齢者の運転免許更新時に、認知症の検査が実施されることになりそうです。また70歳以上のドライバーには、高齢ドライバーを意味する「モミジマーク」の貼り付けも義務付けされることになるでしょう。
現在の運転免許保有者7800万人のうち、65歳以上は約980万人。そのうち75歳以上は236万人です。団塊の世代の高齢化にともない、高齢ドライバーは今後ますます増加してゆきます。
今年、警察庁が69歳以上の高齢ドライバーに認知症の簡易検査を行なったところ、2.5%に「認知症の疑いがある」、23.7%に「認知機能の低下が疑われる」と判定されました。
「認知症であるかは別にしても、ここ数年、高齢ドライバーの過失による交通事故は増えてきているように思います。ドライバーが認知症で事故を起こした場合でも、基本的には損害賠償責任や刑事責任は免れません。認知症になると道路標識や運転の仕方がわからなくなってしまう可能性がありますね。(事故を未然に防ぐために)このような検査が導入されるのは望ましいことだと思います」
という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放送されました。
ある出演者は、「実際に私は高齢者の認知症ドライバーに当て逃げされました。後で聞いたら、その人は自分が運転していたことすら覚えていなかったそうです」
という経験を話されました。
しかし、都市部ではともかく、山間部では他の交通機関がないため、自家用車に頼らざるを得ない方も多いのが現状です。行政がそのすき間をどのように埋めるかが、今後の課題となるでしょう。
9月に埼玉県川口市で起きた園児死傷事故では、4人もの幼稚園児が死亡し、17人が重軽傷を負いました。オーディオの操作のためのわき見運転が原因とされましたが、遺族の無念は高まるばかりです。
最高刑が懲役20年の「危険運転致死傷罪」が適用されるためには、「飲酒などにより正常な運転が困難な状態で四輪を運転したか、又は制御困難な高速度で四輪を運転した」という要件を充たすことが必要です。しかし、この加害者がしていたのは「わき見」や不適切な加速などで、上記要件を充たす事実がなかったために、重大な結果を招いたにもかかわらず、危険運転致死傷罪の適用はできませんでした。
加害者が起訴された罪名は、最高刑がたった5年の「業務上過失致死傷罪」でした。
「私は現行の業務上過失致死傷罪の法定刑を5年から15年くらいに引き上げて、その範囲内で柔軟に対応するのが最も望ましいのではないかと思います。ご遺族の気持ちを考えればもっと重い量刑にしてもらいたいと思うのは当然でしょうし、それに答えるように法律も変わっていかなければいけない」という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放映されました。
京王線踏切で電車が車に衝突し、脱線する事故がおきました。車を置き去りにした女性は「踏切の途中で警報機が鳴り、驚いて踏切内で車を止めてしまった。急いで発進させようとしたが、遮断機が下りてしまったので車から飛び出した」と話しているそうです。
しかし番組スタッフが現場を調べたところ、警報機が鳴り出してから遮断機が下りるまでには、13秒もありました。途中で鳴り出したのではなく「鳴り出してから踏切に進入」したのだと思われます。それでも踏切脇の非常ボタンを押してさえいれば、電車は異常を察知し急停車できますので、事故は防げたかもしれません。けれども飛び出した女性は、ボタンを押すことすらしませんでした。
この事故で、京王線は7時間も不通になりました。
こんな場合の損害賠償金はどうなるのでしょうか。
「この女性は、破損した電車の修理代金のほかに、乗客の切符の払い戻し代金や他の交通機関への振替輸送の費用を払わなければなりません。電車を止めた時間にもよりますが、数千万円から数億円という損害賠償金が見込まれます。今回は幸い、けが人はありませんでしたが、もしも死亡者が出た場合は、業務上過失致死傷罪が適用されるので、5年以下の懲役または禁固または50万円以下の罰金という刑になるでしょう」
という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放映されました。
ちょっとした不注意が大惨事になってしまう踏切事故。くれぐれも警報機の鳴っている踏切には、無理に入らないでいただきたいと思います。そして万一のときは、踏切の脇に非常ボタンがあることを、ぜひとも思い出して下さい。
10月に起きたトルコのバス横転事故で、旅行中の日本人ツアー客が死傷しました。雨の夜道でのスピードの出しすぎが原因です。1人死亡、重軽傷者11名を出したこの事故の補償はどうなるのでしょうか。
「旅行会社が主催した『主催旅行』の場合には、旅行業約款の中に『特別補償規程』というものがあり、お客様1人亡くなられた場合は2500万円の補償金が支払われることになっています。またけがをして入院された場合には、入院見舞金として1人あたり4万円から40万円、通院の場合には通院見舞金として2万円から10万円払われます」
という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放映されました。
しかし、これだけでは十分な補償とはいえません。
外国で事故に巻き込まれた場合、損害賠償は「死亡・傷害」という結果が発生した現地国の法律に従うことになります。 このため、渡航先によっては、「生命の値段」を500万円から800万円程度に削られてしまうことがあります。例えば、シドニーのあるオーストラリアのニュー・サウスウェールズ州がそうです。
海外旅行へ出かけるときは、必ずご自分で海外旅行傷害保険に入るなど、事故に備えた補償措置をとっていただきたいと思います。
9月に埼玉県川口市で起きた園児死傷事故では、4人ものいたいけな幼児が死亡し、17人が重軽傷を負いました。オーディオの操作のためのわき見運転が原因です。
しかし加害者が起訴された罪名は、最高刑がたった5年の「業務上過失致死傷罪」。最高懲役20年の「危険運転致死傷罪」ではありませんでした。
「4人の命を奪っておいて、5年は短すぎます。単純に計算すると、人一人死なせておいて1年ちょっとしか刑を科せられないのは、なんとも理不尽です」との遺族の無念の思いが語られました。
最高刑が懲役20年の「危険運転致死傷罪」が適用されるためには、「飲酒などにより正常な運転が困難な状態で四輪を運転し、相手を死傷させた場合」という要件を充たすことが必要です。しかし、この加害者がしていたのは「わき見」や不適切な加速などで、上記要件を充たす事実が存在しなかったために、重大な結果を招いたにもかかわらず、危険運転致死傷罪の適用はできなかったのです。
「(4人も死亡させたこの事故での量刑が最高でも懲役又は禁錮)5年というのは低すぎるんじゃないかと思います。業務上過失致死傷罪の法定刑を15年くらいに引き上げて、フレキシブルな対応ができるように法改正をしたほうがよいのではないでしょうか」という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放映されました。
埼玉県川口市で園児の列に乗用車が突っ込み、17人が死傷するという痛ましい事故が起きました。原因は、オーディオの操作のためのわき見運転でした。
警察庁によると、交通事故の原因は1位が安全確認義務違反、2位がわき見運転です。この特集では、わき見運転がどれほど危険なのかを実験しました。
それによると、オーディオ操作で3.25秒、看板を見るので2.27秒など、平均して2.6秒もかかります。たった2.6秒の空白時間に、30km/hでは20.8mも進んでしまいました。進路のブレが大きいオーディオ操作では、横に1.4mも蛇行してしまうため、狭い道では道端の歩行者をはねてしまう可能性が高いことも明らかになりました。
「被害者の数が多かったとしても、危険運転致死傷罪は飲酒や極端なスピード違反など、特定の要件に当てはまらないと適用できません。単なるわき見運転の今回のケースでは、残念ながら(最高刑が懲役5年の)業務上過失致死傷罪しか適用できないのが現実です」
という私のコメントが放映されました。
この加害者は、今春にもわき見運転で別の事故を起こしていたことが発覚しました。常習者の反省を促すためにも、業務上過失致死傷罪の罰則を今よりもっと重くしてほしいものです。
交通事故で加害者は警察への罰金は支払っているのに、被害者への賠償金を払わず逃げてしまった。罰金を被害者の補償にあててもらうわけにはいかないのでしょうか。
「被害者への賠償は民事の問題であり、賠償金を支払わなくても罰する法律がありません。ですから払う金がないと言いはったり、遠方へ逃げて音信不通になる、未成年の場合は親が払わない、などの理由で逃げる加害者がたくさんいます。一方刑事処分としての罰金を支払わないと労役場(留置場)に入れられ、罰金に見合った日数分留置されることになります。このため、加害者としては、罰金の支払いを優先するのです。」という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放映されました。
罰金は何に使われているのでしょうか。
道路交通法違反による罰金は、全国で792億3700万円(平成17年度)も納付されました。これらは壊れた道路標識、街灯、ガードレールなどの修理や、地下の横断歩道を作る工事費などにあてられています。
しかし、ニュージーランドでは、「事故保険システム(ACC)」という「国が交通事故の被害者を補償するシステムがあり、治療費はもちろん、その後働けない場合には必要な限り無期限に給料の80%を保証してくれます。このシステムは交通事故だけでなく、事故全般に適用され、外国人観光客にも対応しています。
現在の日本では交通事故の被害者が、逃亡した加害者や無保険・無収入の加害者から賠償金を取るのは、事実上あきらめざるを得ません。
ニュージーランドのように「事故は社会生活上避けられないことであるから、社会的費用として国が補償しよう」という考え方は、今後の施策として日本でも検討する価値があると思います。
飲酒事故で寝たきりになった被害者に3億円の賠償を命じる判決が、2006年9月27日、千葉地裁佐倉支部で出ました。この事故は、加害者の男(34歳)が飲酒運転で歩行者をはね、意識不明の植物状態にしてしまった事件です。
「この判決内容を見ますと、ご家族の慰謝料の金額が基準よりも1000万円近くアップしています。加害者の悪質性というものを重く見ているのだと思います。民事訴訟の上でも非常に厳しく飲酒運転を断罪した判決で、高く評価しています」という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放映されました。
また、この加害者はこの事故の3年前にも飲酒運転で接触事故を起こしています。その際は自治体幹部であった父親が「息子が飲酒していたのではまずいから、私が運転していたことにしてくれませんか」と当時の被害者に頼み、示談が成立したこともわかっています。
「これは『犯人隠避』といいまして、れっきとした犯罪です。そういうことが判明したなら、父親を検挙するとか、本人をもう一度取り調べるということが必要ではないでしょうか。千葉地裁のケースの、被害者とご家族が今後背負っていかなければならない介護のご苦労とその重さを考えると、3億円程度の賠償金では償いきれるものではありません」と私がコメントしました。
また、この特集では、深夜、神奈川県警察の飲酒運転検問に密着取材した実例が放映されました。
「何で私だけ!」とか、女性ドライバーの方で「(検挙されたので、歩いて帰ると)夜道で襲われたら、警察が責任取ってくれんの!」という身勝手極まりない暴言を吐く人もおりました。
平均してビール大瓶1本(633ml)程度の飲酒で、酒気帯び運転の数値(0.15mg/l)を超えます。しかし検問では「飲酒した」と話すドライバーの検査結果が基準値以下の0.1mg/lだったため、何のお咎めもなしという実例もありました。
番組スタッフが酒気帯びの基準値まで飲酒し、シミュレータによる運転実験をしたところ、すぐに事故を起こし、「本人が自覚しているよりも脳の働きが低下して判断速度が遅くなる」ことも証明されました。
アルコールは実は、ビーフステーキ、ビーフシチューといった料理にも微量ながら使われます。
「料理からとった微量のアルコール類でも感知してしまうような、厳しすぎる基準値では食生活に支障が出ますので、アルコール量には一定の基準を設ける必要はあるでしょう。飲酒運転の基準値としては、スウェーデンやノルウェーのように0.1mg/lまで下げてもよいと思います。」という私の意見が放映されました。
「危険運転致死傷罪」は抜け穴だらけの法律であることが、問われています。
この特集では、飲酒運転で暴走してきたバイクにはねられ、即死した少女の例をあげて、その理不尽さを浮き彫りにしました。少女の父親は、「加害者は飲酒運転で死亡事故を起こしたにもかかわらず、『四輪ではないので危険運転致死傷罪の適用外だ』と言われて愕然としました。(こんな法律を許している)この国はヘンです。」と語りました。
なぜ二輪は危険運転致死傷罪の対象から除外されているのでしょうか。
「四輪に比べると二輪の方が、重大な死傷事故を起こすケースが累計的に少ないのです。事故を起こしたとしても、四輪ほど被害者の数が多くない。四輪ですと、1つの事故で5~6人の命を奪うこともありますが、二輪であれば、せいぜい1人か2人の限られた人数になるのが多いということで、危険運転致死傷罪の適用からはずされたのです」という、この法律についての私(弁護士・加茂隆康)の解説が放映されました。
しかし、たとえ二輪であっても、人の命を奪える以上、四輪同様に「走る凶器」であることには何ら変わりはありません。
悪質なドライバーが増えている現在、二輪も危険運転致死傷罪の対象に加えるべきではないかと、私は思います。
飲酒運転事故で壊されるのは被害者の人生だけではありません。加害者の人生も同様です。
ある加害者(元トラック運転手、55歳、妻子あり)は事故が原因で会社を解雇され、離婚、ホームレスになり、現在は生活保護を受けています。彼は「飲酒運転は自分では当然のことで日常化していたため、罪悪感は全くなかった」と語りました。現在では飲酒問題の自助グループに属し、断酒の努力をしているそうです。
飲酒運転違反者うち、「過去に経験あり」という人は66%で、その内28%が4回以上の再犯者です。交通刑務所に入っても、常習者の飲酒運転はなくならないのです。
アメリカでは酒気帯び運転で一度逮捕されると、車自体に飲酒検知器「インターロックシステム」を取りつけなくてはなりません。カナダでは0.1mg/lの呼気検査結果で刑事罰、被害者死亡の場合は終身刑と、日本よりずっと厳しい法律になっています。
「逃げ得を横行させないために、『飲酒ひき逃げ罪』『飲酒証拠隠滅罪』を新設して、被害者を死亡させた場合は無期懲役にするなど、今よりもっともっと厳しい罰則にすることが急務です。飲酒運転で検挙されたら、それだけで免許取消、そして永久に免許を与えない。そのくらいの厳しい対応が、国には求められていると思いますね」という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放映されました。
「これくらいの酒量ならば運転できる。今まで事故を起こしていないから、今回も運転できる」といった、罪悪感のない常習者に飲酒運転をやめさせるためには、まず罰則を厳しくすることが第一だと私は思います。
上記日本テレビの番組にもスタジオ生出演し、テレビ朝日「スーパーモーニング」(2006.9.20放映) と同様のコメントをしました。
現在、酒酔い運転で免許取消にされても、累積違反点数次第で、最長でも5年後には再び免許取得が可能です。これでは再犯を招きます。
「飲酒運転が発覚したならば、仮に事故を起こさなくても、即免許を取り消すべきだと思います。そういう飲酒運転をした人物に対しては、永久に運転免許を付与しない。一見厳しいようですが、こうしない限り、飲酒運転はなくならないと思います。」
また、「(ひき逃げ罪は懲役15年くらいに重くした上で)『飲酒ひき逃げ罪』という罪を新設し、死亡事故ならば無期懲役にする。そして現行法では他者が証拠隠滅しないと適用できない『証拠隠滅罪』を本人がした時にも適用できるように、『飲酒証拠隠滅罪』を創設し、罰則をかなり重くする。そうでないと逃げ得は横行するばかりです」
このような私(弁護士・加茂隆康)の提案が放映されました。
厳罰化しただけでは根本的な解決にはならず、国民一人一人の飲酒運転に対する危険意識を高める必要があるとの意見があることも十分承知しています。しかし、国民の意識改革を促すためには、まず厳罰化を先行させなければどうにもならないと私は思います。
飲酒運転の一斉取締りが現在各地で行われています。
これについて、「警察官の人手不足、検問が限られた場所でしか行われないこと、検問の手続きに時間がかかることなどから、飲酒検問には限界があります」との私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放映されました。
道路交通法には「何人も、酒気を帯びて車両等を運転するおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒を勧めてはならない」という規定があります。しかし、車で来ている客と知っていながら酒を提供したとして、飲酒運転幇助(飲酒運転を手助けした)の罪で飲食店側が立件された数は、過去4年で72件とごくわずかです。
「警察も、店まで摘発しようとする意欲がこれまではなかったと思います。客が車を運転して帰るのを知ってお酒を提供したという事実が立証できない限り、飲酒運転の幇助犯を成立させることができなかったからです」という私のコメントが放映されました。
番組のアンケート調査では、「来店時に客が車で来ているか確認している飲食店」はわずか14%、「客が車で来ているのを知っていても酒を提供する」と答えた飲食店が66%と、飲食店側の飲酒事故に対する意識の低さが証明されています。
しかし一方で、無料送迎車を出して、客に安心して飲酒してもらう居酒屋チェーン店や、客にタクシーの初乗り料金分のチケットを提供する登米市中央商工会のようなよい例もあります。警視庁では、飲食業界の加盟団体を集め、車を運転して来た客には酒を提供しないよう、強く要請したとのことです。
「危険運転致死傷罪」が2001年12月に施行されてから5年たちました。
飲酒運転は減っていますが、ひき逃げは2002年を境に急増しています。
その理由は、いわゆる「逃げ得」を狙ったドライバーが急増したからです。
飲酒運転をして人身事故を起こした場合、
死亡事故なら 20年以下の懲役
傷害事故なら 15年以下の懲役
が科せられます。
しかしひき逃げをして、だいぶ時間がたってから出頭しますと、事故当時の飲酒量を検知できないため、
業務上過失致死傷罪+ひき逃げの罪(道路交通法違反)
でしか、処断されません。
この2つの罪を併合しても、懲役7年6カ月が最高刑です。
このことをドライバーが知っているため、飲酒していた者はわざとひき逃げに及ぶのです。
またさらにひき逃げをしないまでも、事故後パトカーが来るまでに水をがぶ飲みして飲酒量を薄めたり、事故後すぐ酒を重ね飲みして事故当時の飲酒量をわからなくするといった、悪質な偽装工作をする者までいます。
この特集では、東名高速道路幼児2人死亡事故のご遺族の井上様ご夫妻と私(弁護士・加茂隆康)がゲストに招かれ、飲酒運転者の危険認識の甘さと悪質ぶりに憤り、現在の法律の不備と改正すべき点についてお話ししました。
「新たに『飲酒ひき逃げ罪』というのを創設し、飲酒事故+ひき逃げを危険運転致死傷罪よりも重い犯罪として罰する。たとえば、ひき逃げをして被害者が死亡したなら無期懲役、ケガをしたなら20年以下の懲役にします。
また『飲酒証拠隠滅罪』というのも新設します。事故後に水をがぶ飲みしたり、重ね飲みをして飲酒量の検知を妨げた者は、『飲酒証拠隠滅罪』として、別に罰するのがよいのではないかと思います。
そもそも、酒気帯び運転、酒酔い運転などという区別があるために、少し飲酒した程度の人は、『俺はまだ酒気帯び程度だから大丈夫だ』などという安易な考えがでてくるのです。いっそ、酒気帯び、酒酔いなどという区別はやめ、少量でも『飲酒運転』という概念で包括して取り締まるようにすれば、飲酒運転を減らせるのではないでしょうか。いずれにしろ、『逃げ得』がでてくるなどというのは、法の不備であり、それを許す社会であってはなりません。」
このような私のコメントが放映されました。
福岡県北九州市で起きた追突事故。加害運転手の男は警察が事故現場に来る前にコンビニで焼酎を買って飲み、「酒を飲んだのは事故の後だ」と主張しました。しかしこの男は、事故直後に被害者に歩み寄ってきたときは足元がふらふらで、酒の臭いがしていたといいます。
「事故当時に飲酒していたということがわかってしまいますと、危険運転致死傷罪という非常に重い罪になります。それをなんとか逃れるために、事故直後に酒を飲むこと(重ね飲み)によって、事故後に初めて酒を飲んだかのように偽装工作する悪質な者がいます。重ね飲みなどの偽装工作をすると、それはさらに別の重い罪になる、というような法改正することも一法ではないかと思います」
との私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放映されました。
件の加害者は翌日の午後、しらふになってから「すみませんでした。自宅で焼酎を3杯飲んでから運転をしました」と自供したそうです。
8月25日には、福岡市で市職員が飲酒運転で追突し、川に落ちた幼児3人を死亡させるという悲惨な事故があったばかりです。この市職員は事故直後に友人に飲料水を運ばせ、大量の水を飲んで警察の呼気検査に対して偽装工作をしました。水を運んだ友人は、のちに証拠湮滅容疑で逮捕されています。
このような偽装工作を取り締まるために、早急な法整備が望まれます。
飲酒運転で3人を死傷させた交通事故の民事裁判で、被害者遺族が加害者の妻を訴えました。妻は加害者(夫)から「今日は飲んで帰るから」という電話を受け、「気をつけてね」と答えただけで、夫の飲酒運転を止めなかったから責任がある、というのがその理由です。遺族は直前まで一緒に飲んでいた同僚も同じ理由で訴えています。
「一緒に飲んでいたわけでもない妻を訴える、というのは異例中の異例です。へべれけになるまで飲酒していた夫は、たとえ妻に電話で止められたとしても、それを忘れて運転したかもしれないとも考えられますので、妻の不作為と夫の事故との間には因果関係が稀薄だと思います。妻の責任まではおそらく認められないでしょう。」という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放映されました。
(※その後の判決で、一緒に飲んでいた同僚には責任が認められましたが、妻の責任は認められませんでした。)
交通事故総数は減っていますが、自転車事故は急増しています。
この特集では、自転車同士の事故で退職を余儀なくされ、いまも事故の後遺症に悩まされている被害者の体験をもとに、自転車事故の恐ろしさを訴えました。
「自転車は道路交通法では『軽車両』に分類されていますので、事故を起こした場合、自動車と同じように責任が課せられます。ところが、自転車は『チャリンコ』などと軽く考えられ、『車』という認識がそもそもない人がほとんどです。事故を起こしたとき、ぶつけられたほうはケガをしたり、死亡したりします。そういうときの賠償金をどうするか、ということをよく考えていただきたい。保険に入って、自分が事故を起こしたときの賠償金をカバーする、また自分がケガをしたときも保険金でカバーされる、というふうにしないと、どこからも賠償金が出ない、ということになってしまいます」という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放映されました。自転車の安全整備と保険がセットになった「TSマーク」の紹介もありました。
水没事故で全損した自動車の車両保険金を車の持ち主が保険会社に求めた裁判で、最高裁は保険金の支払いを拒否した保険会社側勝訴の1、2審判決を破棄し、名古屋高裁金沢支部に審理のやり直しを命じました。
この裁判では、保険金支払いの対象である「偶然の事故」なのか、支払いを拒否できる「故意に起こした事故」なのかを証明する立証責任が、契約者と保険会社のどちらにあるのかが争われました。
最高裁は、「支払いを拒否するなら、保険会社が『故意に起こした事故』であることを立証しなければならない」とする初の判断を示しました。これまで、自損事故、あて逃げ、いたずらでつけられた傷などに対しては、加害者がいない、又は逃げてしまっているため、契約者本人が「偶然の事故」であることを立証できず、故意に起こした偽装事故と疑われ、保険金が出ないことが多くありました。
「自動車を持つ人たちにとっては朗報です。『立証責任の転換』というのですが、これからは非常に車両保険金が請求しやすくなると思います。」という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放送されました。
私も同様の水没全損事案を解決したことがあります。そのときは契約者側に「偶然の事故である」ことの立証責任があったため、車がなぜ水没したのかを実験して、ビデオ撮影までしました。偶然性を裁判所がわかってくれましたので勝訴したものの、費用と手間がかかりました。
もしあなたが、車両保険金を請求することになり、保険会社から偽装事故だという理由で支払拒絶をうけたなら、「偽装であることの立証責任は保険会社側にある」ことを思い出して下さい。その立証ができない限り、保険金を支払えというのが最高裁の見解なのです。
暴走自転車の事故は年々増加の一途をたどっています。今年3月には静岡県で2人乗りの自転車が散歩中のお年寄りに背後から衝突、死亡させる事故がありました。
自転車関連の事故は、この10年で1.3倍。中でも自転車対歩行者の事故は4.4倍になっています。そこで2006年5月より、自転車事故の取締りが厳しくなりました。悪質運転をする者は刑事罰の対象とし、自転車事故でも懲役刑を含む厳しい処罰をすることになったのです。無灯火、携帯電話や傘をさしての片手運転、一時停止無視、二人乗り、酒酔い運転などはすべて処罰の対象です。
「今まで自転車というものについては、違反があったとしても警察は見逃してきたと思うんですね。見て見ぬふりをしてきた。しかし自転車事故が急増しているという背景にかんがみて、警察はこれからは、自転車に対しても取締りを強化する、場合によっては暴走するような自転車の運転者は道交法違反で逮捕する、
そして裁判にかけ、罰金刑を科すということです」という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放映されました。
自転車事故が急増しています。この特集では、自転車事故の多発している目黒の交差点で定点観察をし、2時間に通った450台の自転車のうち、なんと270台が一時停止無視というルール違反をしている実態を放送しました。これは3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金にあたります。
また、夜間に後ろから来る無灯火自転車には、歩行者は直前までまったく気づくことができず、大事故につながるという実験を致しました。
「都市なので明るいから」「ペダルが重くなるから」などの理由で無灯火で走る人が多くいます。しかしこれは自分勝手な言い分です。
「ライトをつけるというのは、周囲の歩行者や車に『ここに自転車がいる』と注意を喚起する意味があります。背後から自転車が近づいていても、ライトの明るさがなければ全くわかりません。いきなりぶつけられて重大事故になることも十分ありえます」という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放映されました。
また、片手運転についても、
「ジュースの缶や、ケータイなどを持って運転すると当然片手運転になるので安全性が損なわれているわけです。これは安全運転義務違反として3ヶ月以下の懲役、もしくは5万円以下の罰金となります。また、歩道を走行中、2列で歩いている歩行者に向かって、『邪魔だからどいてください』というような意思表示としてベルを鳴らすというのもいけません。(歩道は歩行者優先なので)歩行者通行妨害になります。これは2万円以下の罰金または科料になります」という私のコメントが放映されました。
2002年1月に横浜で起きた三菱自動車製トレーラーのタイヤ脱落事故。
走行中にはずれたタイヤの直撃を受け死亡した被害者の遺族は、三菱自動車と国に対して、1億6000万円の損害賠償を求めて提訴していました。この内1億円は、「企業側にこれ以上悪質な行為をくり返させない」ための懲罰的慰謝料 でした。
懲罰的慰謝料とは、遺族の精神的苦痛を慰めるための慰謝料とは別に、企業側に対し、悪質行為をしたことのペナルティーとして科せられる制裁的意味の慰謝料のことです。金額も莫大な額になるのが普通です。
しかし横浜地裁の判決は、「懲罰的慰謝料はわが国の法制と調和しない」という理由で請求を棄却、国の責任も否定し、三菱自動車が支払うべき慰謝料は550万円だけでした。
「法制と調和しないとは、かいつまんでいえば、前例(主に判例)がないという意味です。(懲罰的慰謝料は)主にアメリカで認められた制度で、日本の民法の中には懲罰的慰謝料を認めるという条文がないのです」との私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放映されました。しかし、懲罰的慰謝料を認めてはいけないとも書かれていません。
私は、企業の体質を正すためには、日本でもぜひとも懲罰的慰謝料を認めるべきだと考えています。
遺族側はこの判決を不服として、即日控訴しました。
横浜地裁で、帰宅途中の高校生の列に猛スピードの乗用車がつっこみ、2人が死亡、7人が足首を切断するなど重軽傷を負った事故の初公判が開かれました。
被告の男は「危険運転はしていない」などと起訴事実を否認しました。
また千葉地裁では、同窓会帰りの男女8人が泥酔者にひき逃げされ、4人が死亡、4人が重軽傷を負った事件で、被告に対し、危険運転致死傷罪としては最高刑である懲役20年の判決が下されました。
しかし求刑の25年(無免許、ひき逃げによる道交法違反、自動車泥棒の窃盗罪と併合)よりは5年も軽い判決でした。被害者・遺族の怒りはおさまりません。
2001年末に施行された危険運転致死傷罪。
悪質な交通事故に対しての法定刑は重くなったものの、その罪が適用された数が年々減っているのはなぜでしょうか。
「危険運転致死傷罪の構成要件である『正常な運転が困難な状態』を検察側で立証するのが、かなり大変なのです。晩酌程度の酒量であったとしても、車を運転して人を死傷させたならば、危険運転致死傷罪を適用するんだという意識を検察側が積極的にもつ必要があります。そういう意識で捜査に当たっていただければ、同罪を適用した判例も集積され、飲酒運転への抑止的な効果も期待できると思います」という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放映されました。
栃木県益子町で、暴走してきた飲酒運転の車に女子中学生2名がひき逃げされ、死亡する事故がありました。この事件では飲酒についての加害者の自供があり、警察は危険運転致死罪で送検しました。しかし検察は危険運転致死罪より軽い業務上過失致死罪(及び道路交通法違反)で起訴したため、判決は懲役5年6ヶ月という軽いものでした。被害者遺族は検察官に「事故直前に蛇行運転していたなどの目撃証言がないと、危険運転致死罪では立件できません」と言われたと言います。しかし私(弁護士・加茂隆康)はそうは思いません。
「この件は危険運転致死罪で十分立証できるのに、検察が及び腰になり、『危険運転致死罪にはならないかもしれないから、とりあえず業務上過失致死罪にしておこう』という消極的な態度になってしまったのです。結局、検察はこの事件の見方を誤ったのです」という私のコメントが放映されました。
道路横断中の高校生の列に酒酔い運転の車が突っ込み、3人死亡、重軽傷者22名という大事故が発生しました。運転手は泥酔し、居眠り、信号無視のあげくの暴走でした。
私(弁護士・加茂隆康)は「こんなひどい事故では、危険運転致死傷罪の適用は当然です。それ以上に運転者には『未必の故意』があったと考えて、殺人罪の適用も視野に入れたきびしい処分をしてもいいと思います」という考えを示しました。
また、警察が「捜査の秘密」と称して加害者の刑事処分の経過を被害者に開示しないため、被害者への損害賠償が遅れてしまい、被害者が二重の苦しみを味わっている現状を解説しました。
道路を横断中の高校生の列に酒酔い運転の車が突っ込み、3人死亡、重軽傷者22名という大惨事が起きました。運転手は泥酔状態で、7時間も酒を飲み続けたうえでの運転でした。
私(弁護士・加茂隆康)は「危険運転致死傷罪の適用は当然であり、さらに一歩進めて、『未必の故意』による殺人罪の適用も視野に入れたきびしい処分をしてもいい」との考えを示しました。
また、警察が「捜査の秘密」の名のもとに、加害者の刑事手続の経過、特に実況見分調書などの刑事記録を被害者に開示しないため、被害者への自賠責保険金の支給が遅れてしまい、被害者が二重の苦しみにさらされている現状を説明しました。
「自転車は免許がいらない」と、気楽に乗っている人が多いものです。けれど、いったん事故を起こしたら、賠償金を自腹で支払わなければなりません。あなたは自転車事故をカバーしてくれる保険に入っていますか?
このビデオでは、自転車走行で守るべき交通ルールとともに、自転車が起こした死亡事故の実例を私(弁護士・加茂隆康)がご紹介し、「自転車整備と保険」がセットになっているTSマークの説明をいたしました。
平成17年4月1日から、40年ぶりに高速道路でのバイク2人乗りが解禁されました。しかし首都高速の中心部では禁止されたままです。「首都高においては、過去に2輪事故が多発していたので、やむを得ない措置だと思います。」という私(弁護士・加茂隆康)の談話が放映されました。
意外と知られていない交通事故の賠償金。もしもあなたの車が踏切内で立ち往生し、電車を止めてしまったら…? 「電車の乗客への払戻し切符代、振替輸送の交通機関の費用、破損した電車の修理費、怪我をした乗客の治療費などの合計を請求されるかもしれません。その合計は数千万から億単位になることもあります。」私(弁護士・加茂隆康)の説明に、スタジオの高田純次さん、渡辺徹さんらも驚きの表情を隠せませんでした。
「片山隼くん事件」では、検察捜査のあり方が見直されました。「それまで日本の刑事裁判では被害者は当事者と見なされず、『検察と加害者』が事件の当事者で、被害者は蚊帳の外に置かれていました。」被害者にとっては、自分の知らないところで刑事手続が進行し、「一度決定された刑事処分を覆すというのは、ものすごく高い壁だったのです」という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放映されました。
東京での交通事故のうち、バイクの事故は10年前に比べて、およそ1万件も増えています。その原因は、バイクの危険なすり抜け走行にあると言われています。番組では、渋滞する国道の車列の隙間をすり抜けていく、危険なバイク走行の実態をルポ。
私(弁護士・加茂隆康)が、この特集のCG画面とナレーションの監修を担当致しました。
交通事故の賠償請求では、黙っていては、保険会社の言いなりになってしまいます。被害者が損をしないために、どんな手段があるでしょうか。「賠償額が大きく違う3つの基準」「賠償問題は交渉事」「第三者機関での示談斡旋」について、私(弁護士・加茂隆康)が、具体的な例をあげてご説明しました。
多発する多重衝突事故。高速道路上での玉突き追突事故では、どんな場合に、だれがどのような賠償責任を負うでしょうか。また、交通事故を起こした場合の責任(刑事責任、行政責任、民事責任)とはどのようなものなのかを、私(弁護士・加茂隆康)がご説明しました。
日本では現在、高速道路での二人乗りは禁止されていますが、海外にならって許可しようという法案が出ています。
「しかし解禁したら、事故が起こったときの死亡者が増えるのは目に見えています。慎重に対応すべきでは」という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放映されました。
宮崎県で、「宮崎県警察本部 なんちゃって!」と書いたニセパトカーを走らせていた暴走族が逮捕されました。
ニセパトカーを作って公道を走らせていた場合、罪状はどうなるのでしょうか。
「一般の人が警官であると名乗ったり、ニセパトカーを作って走ると軽犯罪法違反になります。今回のニセパトカーは『なんちゃって!』といかにもジョークのように書いてありますが、『宮崎県警察本部』の文字が入っている以上、軽犯罪法違反にかわりはありません」という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放映されました。
吹雪の北海道の高速道路で、123台もの車が玉突き事故に巻き込まれました。
「このような複雑な事故は、見る立場によって、過失割合が変わります。損害賠償問題は非常にこじれるでしょうね」という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放映されました。
気軽な気持ちで乗る人の多い自転車。しかし、無灯火の自転車や、暴走自転車が死亡事故をひき起こすこともまれではありません。「自転車も自動車同様、十分な凶器となりうる存在です。乗る人は他人を十分に意識するべきです」という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放映されました。
前代未聞の、大阪府知事による女子大生セクハラ事件。横山ノック被告の求刑について、「これは痴漢の概念を超えた犯行であり、私(弁護士・加茂隆康)が以前扱った電車の中の強制わいせつ事件では求刑は1年6ヵ月でした。それからすると2年から3年の求刑が妥当ではないでしょうか」という私のコメントが放映されました。
東名高速道路で、泥酔した大型トラックが乗用車に追突し、両親の目前で幼児二人が死亡するという事故が起こりました。
「これだけのひどい事案であればもう少し厳罰をもって臨む、という姿勢が法曹関係者全員、特に検察、裁判官に必要であると思います。求刑どおり懲役5年であってもよかったと思うし、最高では7年まで求刑できたはずです」という私(弁護士・加茂隆康)のコメントが放映されました。
私(弁護士・加茂隆康)の扱った事件が、再現ドラマとして放映されました。
1. 美貌の影に(2002.2.5放映)
(原作『現代のモナリザは』~「弁護士カモ君の事件グルメ」《ぎょうせい刊》より)
しとやかな美女が、私を訪ねてきました。
「医大生の彼に妊娠中絶させられ、捨てられたのです。このままではあんまりです。」 調停によって彼女は300万円の慰謝料を手にし、終わったかに見えたこの事件。ところが彼女は医大生を専門に狙う、慰謝料稼ぎのしたたかな女だったのです。
2. 白い杖の女(2001.8.7放映)
(原作『ミステリー風味失明した女』~「弁護士カモ君の事件グルメ」《ぎょうせい刊》より)
交通事故で、ある女性が両眼失明になったとして、保険金を請求。
私は保険会社の代理人として、調査会社に調査を依頼しました。女性は確かに目が見えない様子でしたが、不信感の抜けない私は調査を続行させました。その結果、発覚した意外な事実とは!?
3. 愛をつらぬいて(2001.8.7放映)
(原作『カルチャーマダムの恋』~「弁護士カモ君の事件グルメ」《ぎょうせい刊》より)
テニスクラブに通ううち、43歳の社長夫人が、若いコーチと不倫関係になりました。私は、テニスクラブの支配人から、コーチに夫人と別れるよう説得を依頼されましたが、二人とも、テニスクラブをやめてしまったのです。その2年後、私はコーチと衝撃的な出会いをしました。